先生セキララ日記 ~幼稚園の現場から~

幼児教育・子育てについて、幼稚園教諭の視点から綴ったブログです。現役の先生、保護者の方、これから先生になる人達と一緒に考えていくことを目指しています。

これから先生になる人にむけて 実習生・新任からのQ&A

実習生・新任の先生からのQ&A~自分から関わってこない子どもとの距離を縮めるには?良い関係を作るために~

新年度がはじまりました。

新しいクラスをもち、新たな気持ちで臨んでおられる先生も多いことと思います。

今年から幼稚園の先生として勤めることになられた方もおられ、保育の基本や具体的なこと、子どもとや保護者についての悩みなど、わからないこと、また、わからないことがわからない!という方もおられるのではないでしょうか。

私も新任の先生と組ませていただくことがあり、まずは、聞きやすい雰囲気をつくることができるように、また、保育に決まりはないということを伝え一緒に考えて共に学びあえるように心がけています。

一方で、一緒に組んでいるからこそ聞きにくいことや、たまには言いたくなる愚痴もあると思います。
そんなときには、他の人にも聞くことができるように連携をとりながら過ごしています。

ここでは、新任の先生や学生さんに質問していただいたことを挙げ、一例としての考えを挙げさせていただきたいと思います。

少しでもご参考になれば幸いです。

Q.子どもから自分(保育者)にかかわってこない・または話しかけても反応がない子にはどうして距離を縮めればよいか

具体的な質問

4月から担任をもつことになられた先生からのご質問です。

「先生~!と話しかけてくれる子どもや自分から甘えてくる子どもなど、子どもの方から自分にかかわりに来てくれる子には、こちからも対応しやすく仲良くなれるが、子どもからかかわって来ない子にはどうしたらいいか?」
さらに話を聞いていると、具体的な場面で「ブロックで遊んでいる子どもに、”何をつくっているの?”と聞いても何も返事がなく、どうしたらいいかわからなかった」とのことでした。

子どもとどのようにかかわったらよいのか模索をされていると共に、子どもとの関係を築いていこうとされていていることがうかがえます。

答えとなるヒント:子どもとの関係をつくる上で大切なことを考えよう

子どもの姿を受け止める

自分からかかわらないからといって、先生と近づきたくないという思いを持っている子は少ないと思います。

かかわりたくても、どのようにしてかかわったらいいかわからない子、恥ずかしがりやの子、先生の様子をうかがっている子、自分の遊びに夢中である子など、それぞれの姿があります。
まずは、一人ひとりの姿を受け止めることが大切です。

入園・進級して環境が変わったなかで、まだまだ自分の思いを発揮することができていない4月、おうちではどのように過ごしているのか、また、どのような会話をしておられるのかなど保護者との連携をとりながら、子どもが今どのような思いでいるのかそれぞれの姿から思いを読み取り、感じることが大切です。

そのうえで・・・

”先生は自分のことをわかってくれる存在である”という思い・安心感をもてるように配慮する

子どもの思いに共感するということはどのような場面でも大切です。

子どもから先生に話しかけなくても、そして、先生が話しかけて子どもから反応がなくても、先生の声は子どもに届いています。

たとえば、上記の質問でのブロックをして遊んでいる子に対して、「何つくっているの?」と尋ねても返事がない場合について考えてみましょう。

子どもが答えてくれなくても、子どもが工夫している点や、作っているものに対して先生が感じたこと(もちろんプラスの感情のことです!)を子どもに伝えることも一つです。

ブロックをつなげて遊んでいる子どもに対して、ただ単にブロックを繋げているだけのように見えても、その子がどのようにつなげようとしているのか、どんなものをつくろうとしているのか、どのようなことを工夫しているのかなど、子どもの内面に思いをはせると、言葉のかけかたが見えてきます。
「同じ色のブロックだけを選んでつなげたんだね」「赤・青・黄・赤・青・貴の色の順番に並べたんだね」「長くて強そうな剣だね」「どこまでつながっているのかなぁ 長くつなげたんだね」などと、子どもの思いや姿に寄り添った言葉がけを重ねる中で、自分からかかわりをもつことが難しい子どもも、”自分のことを見てくれている・わかってもらえる”という思いをもつことができます。
子どもが何をどのように楽しんでいるのかということをよみとると、子どもにかける言葉も異なり、また言葉がけも深くなります。

また、「何をつくっているの?」と尋ねる前に子どもの遊んでいる様子やその子の好きなもの、ブロックの形状、会話などから、子どもが作っているのについてわかってあげられると、より良いですよね。
子どもが言葉にしていない思いをよみとり保育者が言葉にして添えることで、先生に目を向けたり信頼したりすることができる一つのきっかけになります。

こうして子どもの思いに寄り添いながら接したり言葉がけたりすることを重ねる中で、安心感をもって過ごせるようになると共に、先生に親しみをもつことができるようになっていきます。

先生への信頼をもつということは、これからの人間関係を築いていく上での土台となります。

子どもにとっても理解者や安心できる存在でありたいと思います。

子どもの素敵なところをたくさん見つけて言葉にする

素敵なところやその子の頑張り、先生がうれしかったことを感情豊かに表現することで、その思いは子どもに伝わります。

認めてもらうというのは、大人も子ども嬉しいものです。
おだてたりもてはやしたりするのではなく、一人の人として子どもの良さをたくさん見つけていけるといいなと思います。

そして、肯定的な言葉は、クラス全体の雰囲気にも影響します。
否定したり怒ってばかりいる先生のクラスは、子どもがびくびくしていたり何が正解か・何が間違いなのかということにばかり気持ちがむいてしまいます。
肯定的な言葉をたくさん向けることで、一人ひとりが認められていることを感じられるだけでなく、子ども同士が認めあえるクラスづくりにもつながります。

上記3点については、子どもとの関係をつくる上で、また子どもとかかわる中で根底となる考え方であると思っています。
そしてそれは、対子どもだけではなく、人とかかわる上で大切なことです。
一人ひとりを尊重しかかわる中で、信頼し認め合えるという関係をつくっていけるよう、また、人とかかわっていく力の基盤を育めるように援助していけるといいですね。

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