先生セキララ日記 ~幼稚園の現場から~

幼児教育・子育てについて、幼稚園教諭の視点から綴ったブログです。現役の先生、保護者の方、これから先生になる人達と一緒に考えていくことを目指しています。

公認心理師 未分類

公認心理師 第4回試験 解答解説

2021/11/18

問1

問1の問題文

公認⼼理師法について、正しいものを 1 つ選べ。

問1の選択肢

1 公認⼼理師登録証は、厚⽣労働⼤⾂及び総務⼤⾂が交付する。
2 公認⼼理師が信⽤失墜⾏為を⾏った場合は、登録の取消しの対象となる。
3 公認⼼理師登録証は、公認⼼理師試験に合格することで⾃動的に交付される。
4 公認⼼理師の名称使⽤の停⽌を命じられた者は、30 万円以下の罰⾦に処される。
5 禁錮刑に処せられた場合、執⾏終了後 1 年を経過すれば公認⼼理師の登録は可能とな る。

問1の正答と解説を表示する

問1の正答

2

問1の解説

1 公認心理師登録証は、文部科学大臣および厚生労働大臣が交付する。
2 問題文の通り
3 公認心理師となる資格を有する者が、公認心理師となるには、文部科学省令厚生労働省令で定める事項の登録を受けなければならない。
4公認心理師の名称使用の停止は、行政処分である。
5 「1年」ではなく「2年」が正しい。

問2

問2の問題文

⾝体損傷により病院に搬送された患者で⾃損⾏為の可能性が疑われる場合、緊急に確 認するべき事項として、優先度の低いものを 1 つ選べ。

問2の選択肢

1 ⾃らの意思で⾏ったかどうかを確認する。
2 致死的な⼿段を⽤いたかどうかを確認する。
3 明確な⾃殺の意図があったかどうかを確認する。
4 背景にストレス要因があったかどうかを確認する。
5 明確な致死性の予測があったかどうかを確認する。

問2の正答と解説を表示する

問2の正答

5

問2の解説

自殺のリスクの高さを把握するため、1,2,3,5については、緊急に確認するべき事項である。一方4は、治療がはじまってからでもよく、他に比べて緊急性が低いと考えられる。

問3

問3の問題文

⼤学の学⽣相談室のカウンセラーである公認⼼理師が、学内の保健管理センターの精 神科医、障害のある学⽣を⽀援するコーディネーター、ハラスメント相談員やクライエント の所属学部の指導教員などと連携して⾏う⽀援について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問3の選択肢

1 相談の秘密を守るため、できるだけ連携せずにすむ⽀援⽅法を⼯夫する。
2 情報の取扱⽅法について、情報共有する関係者の間で合意形成の必要はない。
3 ⽀援に関わる関係者と情報共有することをクライエントに説明し、同意を得る。
4 個⼈情報保護の観点から、情報共有する関係者は学校に雇⽤された教職員である必要 がある。
5 説明し同意が得られた後は、情報共有の在り⽅に関するクライエントの要望は受け付 けない。

問3の正答と解説を表示する

問3の正答

3

問3の解説

1 「公認心理師は、その業務を行うにあたっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない」(公認心理師法第42条)と定められており、公認心理師には、多職種と連携することが求められている。
2  連携のためには、情報の取り扱い方法について、情報共有する関係者の間で合意形成をしておく必要がある。
3  問題文の通り
5  説明し同意が得られた後も、クライエントの要望は尊重されるべきである。

問4

問4の問題文

⼼的過程の「全体」や「場」を重んじ、集団⼒学誕⽣の契機となった⼼理学の考え⽅ として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問4の選択肢

1 構成⼼理学
2 ⽐較⼼理学
3 ⾏動主義⼼理学
4 新⾏動主義⼼理学
5 ゲシュタルト⼼理学

問4の正答と解説を表示する

問4の正答

4

問4の解説

ゲシュタルト心理学では、一体性を重視する。K. Lewinは、ゲシュタルトの理論を集団力学に発展させた。

問5

問5の問題文

観測値として、9、5、7、8、4 が得られたとき、値が 6.6 となる代表値(⼩数点第 2 位を四捨五⼊)として、正しいものを 1 つ選べ。

問5の選択肢

1 中央値
2 幾何平均
3 算術平均
4 相乗平均
5 調和平均

問5の正答と解説を表示する

問5の正答

3

問5の解説

代表値とは、データの分布の中心的位置を表す指標であり、中央値、最頻値、平均値がある。一般的に使う平均値は、算術平均である。算術平均は、全てのデータの値を合計し、データの個数で割った値となり、この場合は、(9+5+7+8+4)÷5=6.6となる。

問6

問6の問題文

因⼦分析による解析を計画している調査⽤紙の回答形式として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問6の選択肢

1 順位法
2 ⼀対⽐較法
3 ⾃由回答法
4 評定尺度法
5 ⽂章完成法

問6の正答と解説を表示する

問6の正答

4

問6の解説

評定尺度法は、観察する行動の強度や印象などを評定尺度で記録する方法で、潜在的な因子の有無を分析するデータとして適切である。

問7

問7の問題文

P. Wall と R. Melzack のゲートコントロール理論が、元来、対象としていた感覚とし て、最も適切なものを 1 つ選べ。

問7の選択肢

1 温覚
2 嗅覚
3 痛覚
4 触圧覚
5 ⾃⼰受容感覚

問7の正答と解説を表示する

問7の正答

3

問7の解説

ゲートコントロール理論は、P. Wall と R. Melzack によって発表された疼痛理論である。

問8

問8の問題文

⼤⼈の攻撃⾏動を観察していた幼児が、その後、同じ攻撃⾏動を⽰した。この過程を ⽰す⽤語として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問8の選択肢

1 洞察学習
2 モデリング
3 嫌悪条件づけ
4 シェイピング
5 オペラント条件づけ

問8の正答と解説を表示する

問8の正答

2

問8の解説

1 洞察学習は、Kohler,W.が、チンパンジーの実験によって、提唱した。洞察と全体的な状況の理解によって、一気に解決に至る学習過程のこと。
2 モデリングは、他者の行動を観察し、同じような動作や行動をすることである。Albert Banduraが提唱した。観察学習ともいわれる。
3 嫌悪刺激を用いて条件付けを行う方法。代表的なモノに、味覚嫌悪条件づけがある。
4 最終目標の反応が形成されるようにする過程。
5 オペラント条件づけとは、自発的に、特定の行動を行うように学習することである。

問9

問9の問題文

C.R. Rogers のパーソナリティ理論の特徴として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問9の選択肢

1 ⾃⼰概念を扱う。
2 精神−性発達を扱う。
3 パーソナリティ特性を 5 因⼦で捉えている。
4 リビドーの向かう⽅向で内向型と外向型に分類している。
5 パーソナリティ特性を外向−内向と神経症傾向という 2 軸で捉えている。

問9の正答と解説を表示する

問9の正答

1

問9の解説

1 Rogersのパーソナリティ理論では、自己概念と自己経験が一致しているかどうかと概念を扱っている。
2 精神-性発達は、S. Freudのパーソナリティ理論で扱われる。
3 パーソナリティ特性を5因子で捉えたのは、L.R. Goldbergである。
4 リビドーの向かう方向で内向型と外向型に分類したのは、C.G. Jungである。
5 × パーソナリティ特性を外向-内向と神経症傾向という2軸で捉えたのは、H.J. Eysenckである。

問10

問10の問題文

失読と失書について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問10の選択肢

1 純粋失書では、写字が保たれる。
2 失読失書の主な責任病巣は、海⾺である。
3 純粋失読の主な責任病巣は、帯状回である。
4 失読失書では、なぞり読みが意味の理解に有効である。
5 純粋失読では、⾃分が書いた⽂字を読むことができる。

問10の正答と解説を表示する

問10の正答

1

問10の解説

純粋失書は、書字に限られた障害であり、写字能力は保たれる。

問11

問11の問題文

集団や社会の多くの成員が、⾃分⾃⾝は集団規範を受け⼊れていないにもかかわら ず、他の成員のほとんどがその規範を受け⼊れていると信じている状況を指す概念として、 最も適切なものを 1 つ選べ。

問11の選択肢

1 集団錯誤
2 集合的無知
3 集団凝集性
4 少数者の影響
5 内集団バイアス

問11の正答と解説を表示する

問11の正答

2

問11の解説

集合的無知とは、多元的無知ともいわれる。援助が必要な場面でも、周りの人が何もしていないと、その状況から、援助や介入に緊急性がないと判断してしまうこと。
B.LataneとJ.M.Darleyは、傍観者効果を提唱しており、傍観者効果が生じる要因には、責任の分散、聴衆抑制、多元的無知があるとしている。

問12

問12の問題文

知覚の⽼化の説明として、正しいものを 1 つ選べ。

問12の選択肢

1 温度感覚の閾値が下がる
2 嗅覚の識別機能が低下する。
3 ⾼⾳域に先⾏して低⾳域の聴取が困難になる。
4 近⽅視⼒が低下する⼀⽅、遠⽅視⼒は保たれる。
5 明所から暗所への移動後における視覚の順応時間が短くなる。

問12の正答と解説を表示する

問12の正答

2

問12の解説

1 温度感覚の閾値は上がる。
2 嗅覚の識別能力は低下する。
3 最初に高音域と小さな音の聴取が困難になる。
4 近方視力、遠方視力共に低下する。
5 明暗順応の反応時間は長くなる。

問13

問13の問題文

DSM-5 の神経発達症群/神経発達障害群に分類される障害として、正しいものを 1 つ選べ。

問13の選択肢

1 素⾏症/素⾏障害
2 脱抑制型対⼈交流障害
3 神経性やせ症/神経性無⾷欲症
4 解離性同⼀症/解離性同⼀性障害
5 発達性協調運動症/発達性協調運動障害

問13の正答と解説を表示する

問13の正答

5

問13の解説

1 素行症/素行障害は、「秩序破壊的・衝動制御・素行症群」に分類されている。
2 脱抑制性対人交流障害は「心的外傷およびストレス関連障害群」に分類されている。
3 神経性やせ症/神経性無食欲症は「食行動障害および摂食障害群」に分類されている。
4 解離性同一症/解離性同一性障害は「解離症群/解離性障害群」に分類されている。
5 発達性協調運動症/発達性協調運動障害は「神経発達症/神経発達障害群の運動症群/運動障害群」に分類されている。

問14

問14の問題文

DSM-5 の⼼的外傷およびストレス因関連障害群に分類される障害として、正しいも のを 1 つ選べ。

問14の選択肢

1 適応障害
2 ためこみ症
3 病気不安症
4 強迫症/強追性障害
5 分離不安症/分離不安障害

問14の正答と解説を表示する

問14の正答

1

問14の解説

1 適応障害は「心的外傷およびストレス因関連障害群」に分類されている。
2 ためこみ症は「強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群」に分類されている。
3 病気不安症は「身体症状症および関連症群」に分類されている。
4 強迫症/強迫性障害は「強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群」に分類されている。
5 分離不安症/分離不安障害群は「不安症群/不安障害群」に分類されている。

問15

問15の問題文

TEACCH の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問15の選択肢

1 ⻘年期までを⽀援対象とする。
2 ⽣活や学習の環境を構造化する。
3 被虐待児を主な⽀援対象とする。
4 標準化された統⼀的な⼿順を適⽤する。
5 視覚的⼿がかりを使わずにコミュニケーションを⽀援する。

問15の正答と解説を表示する

問15の正答

2

問15の解説

TEACCHは「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren」の略で「自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育」とされる。
1 自閉症の子ども向けの生涯支援プログラムである。
2 問題文の通り
3 TEACCHの対象は、自閉症スペクトラムの子どもとその家族である。
4 個別の特性に配慮し行われるものである。
5 写真やイラストなどの視覚的手掛かりを用いて支援する。

問16

問16の問題文

脳損傷者に対する神経⼼理学的アセスメントで使⽤される検査の説明として、最も 適切なものを 1 つ選べ。

問16の選択肢

1 HDS-R の成績が低下している場合、遂⾏機能障害が疑われる。 2 RBMT は、⼿続記憶の障害を検討するために⽤いられる。
3 SLTA には、⾮⾔語性の認知検査も含まれる。
4 WAIS-Ⅳの数唱の成績は、注意障害の程度を知る助けになる。
5 WCST は、失認症を評価する検査である。

問16の正答と解説を表示する

問16の正答

4

問16の解説

1 HDS-Rは、改訂長谷川式簡易知能評価スケールのことで、認知機能の障害についてアセスメントする検査である。
2 RBMTは、リバーミード行動記憶検査のことで、日常記憶の障害をアセスメントするための検査である。
3 SLTAは、標準失語症検査のことで、言語性の検査である。
4 WAIS-Ⅳは、検査IQ(FSIQ)、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリー指標(WMI)、処理速度指標(PSI)の5つの合成得点が算出できる。
5 WCSTとは、ウィスコンシンカードソーティングテストのことであり、遂行機能障害についてアセスメントする検査である。

問17

問17の問題文

H.S. Sullivan の「関与しながらの観察」を深めていくために必要なことについて、 最も適切なものを 1 つ選べ。

問17の選択肢

1 ⾃分の中⽴的な⽴ち位置が揺れ動かないよう努めること
2 ⾃分のその場での⾔動と関係付けてクライエントの反応を捉えること
3 ⾃分の主観に現れてくるイメージをもとにしてクライエント理解を進めること
4 観察の精度を⾼める道具として、標準化された検査の導⼊を積極的に進めること
5 これまでのやりとりの流れから切り離して、今ここのクライエントの感情を理解する こと

問17の正答と解説を表示する

問17の正答

2

問17の解説

H.S. Sullivanは、アセスメントや治療は、クライエントとカウンセラーとの対人関係の中で行うべきであるとし、「精神科医の主要観察道具はその『自己』である」としている。

問18

問18の問題文

⼼理療法における「負の相補性」の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問18の選択肢

1 セラピストとクライエントが、お互いに過去の誰かに関する感情を相⼿に向けること
2 セラビストの働きかけに対して、クライエントがその⽅針に無意識的に逆らおうとす ること
3 セラピストが⾔葉で肯定的なことを⾔いながら態度が否定的なとき、クライエントが 混乱を⽰すこと
4 セラピストが問題の⾔語化を試み続ける中で、クライエントが⾏動によって問題を表 現しようとすること
5 クライエントが敵意を含んだ攻撃的な発⾔をしてくるのに対して、セラピストが同じ 敵意を含んだ発⾔で応じること

問18の正答と解説を表示する

問18の正答

5

問18の解説

「負の相補性」とは、クライエントとカウンセラーが、互いに、怒りや敵意などのネガティブな感情を増幅させることである。

問19

問19の問題文

産後うつ病の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問19の選択肢

1 双極性障害との関連は少ない。
2 有病率は約 10%から 15%である。
3 マタニティー・ブルーズと同義である。
4 M-CHAT がスクリーニングに⽤いられる。
5 ⽐較的軽症がほとんどで、重篤化することはない。

問19の正答と解説を表示する

問19の正答

2

問19の解説

1 双極性障害は、うつ病のリスクになり得る。
2 問題文の通り
3 マタニティー・ブルーズとは、妊娠中や出産後に、ホルモンのバランスが変化することで起こる、不安定な心理症状のことである。
4 M-CHATは、乳幼児に対する、自閉スペクトラム症のスクリーニング検査であり、保護者が記入する質問紙検査のことである。
5 産後うつ病では重篤化することがある。

問20

問20の問題文

職場復帰⽀援について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問20の選択肢

1 産業医と主治医は、同⼀⼈物が望ましい。
2 模擬出勤や通勤訓練は、正式な職場復帰決定前に開始する。
3 傷病⼿当⾦については、職場復帰の⾒通しが⽴つまで説明しない。
4 職場復帰は、以前とは異なる部署に配置転換させることが原則である。
5 産業保健スタッフと主治医の連携においては、当該労働者の同意は不要である。

問20の正答と解説を表示する

問20の正答

2

問20の解説

職場復帰支援については、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(厚生労働省)が参考となる。
職場復帰については、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(厚生労働省)の5つのステップに沿って支援することが望ましい。
1 産業医と主治医は、役割が異なる。
2 問題文の通り
3 傷病手当金については、「病気休業開始及び休業中のケア」の中で説明されることが望ましい。
4 職場復帰は元の職場へ復帰できるようにすることが原則である
5 産業保健スタッフと主治医の連携において、当該労働者の同意を得ることが基本である。

問21

問21の問題文

2018 年(平成 30 年)時点において、児童養護施設における⼊所児童の特徴や傾向 として、正しいものを 1 つ選べ。

問21の選択肢

1 ⼊所児童は、年々増加している。
2 家族との交流がある⼈所児童は、半数を超える。
3 被虐待体験を有する⼊所児童は、半数に満たない。
4 幼児期に⼊所し、18 歳まで在所する児童が年々増加している。 5 ⼊所児童の⼤学・短期⼤学などへの進学率は、おおむね 60%以上である。

問21の正答と解説を表示する

問21の正答

2

問21の解説

2018(平成30)年2月1日時点の「児童養護施設入所児童等調査の概要」(厚生労働省子ども家庭局)の統計の結果をもとに、解説をする。
1 児童養護施設の入所児童数は、前年度の29,979人から27,026人へと減少している。
2 家族との交流関係について、「交流あり」は「電話・メール・手紙」が9.0%、「面会」が28.8%、「一時帰宅」が33.8%となっており、半数を超えている。
3 児童養護施設では「虐待経験あり」の割合が、65.6%である。
4 児童養護施設では、児童の委託(入所)時の年齢は、2歳が最も多く、平均委託(在所)期間は5.2年(前回4.9年)である。
5 「年長児童の就学状況」によると、大学・短期大学には 48 人(0.6%)、専修学校には 72 人(0.9%)が通っているとされ、大学・短期大学などへの進学率は非常に低い。

問22

問22の問題文

感覚運動学習について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問22の選択肢

1 運動技能学習の効果は、短期的である。
2 感覚運動段階は、児童期の特徴である。
3 感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である。
4 ⼀定の休憩を⼊れて運動技能を学習する⽅法は、分習法である。
5 感覚運動学習においては、課題にかかわらず全習法が効果的である。

問22の正答と解説を表示する

問22の正答

3

問22の解説

1 感覚運動学習による学習効果は、手続き記憶で半永久的である。
2 Piagetが提唱している感覚運動段階は0~2歳である。
3 感覚運動学習は、感覚系と運動系による連合学習である。
4 分習法はいくつかの部分にわけて学ぶ方法である。
5 学習は、課題や個人によっては全習法より分習法が効果的であることがある。

問23

問23の問題文

ユニバーサルデザインの考え⽅に基づいて、授業を実施する場合に重要な視点とし て、最も適切なものを 1 つ選べ。

問23の選択肢

1 同化
2 熟達化
3 焦点化
4 体制化
5 符号化

問23の正答と解説を表示する

問23の正答

3

問23の解説

国立特別支援教育総合研究所よる「ユニバーサルデザイン7原則」では、1.公平な利用 2.利用における柔軟性 3.単純で直感的な利用 4.わかりやすい情報 5.間違いに対する寛大さ 6.身体的負担は少なく 7.接近や利用に際する大きさと広さ が挙げられている。
選択肢3の「焦点化」により、「4b.不可欠な情報と,それ以外の周囲の情報とは十分コントラストをつける」ことができると考えられる。

問24

問24の問題文

保護観察所において⽣活環境の調整が開始される時期として、正しいものを 1 つ選 べ。

問24の選択肢

1 家庭裁判所の審判が開始される時点
2 医療及び観察等の審判が開始される時点
3 矯正施設から⾝上調査書を受理した時点
4 矯正施設において、仮釈放(仮退院)の審査を始めた時点
5 矯正施設から仮釈放(仮退院)を許すべき旨の申出が⾏われた時点

問24の正答と解説を表示する

問24の正答

3

問24の解説

保護観察所が、矯正施設から身上調査書を受理した時点で、生活環境の調整が開始される。

問25

問25の問題文

ホルモンの作⽤の説明として、正しいものを 1 つ選べ。

問25の選択肢

1 メラトニンは睡眠を促す。
2 インスリンは⾎糖値を上げる。
3 副腎⽪質ホルモンは⾎圧を下げる。
4 プロラクチンは乳汁分泌を抑制する。
5 抗利尿ホルモンは⾎中のナトリウム濃度を上げる。

問25の正答と解説を表示する

問25の正答

1

問25の解説

1 松果体から分泌されるホルモンであるメラトニンには、睡眠を促す働きをする。
2 膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインスリンは、血糖値を下げる働きをする。
3 副腎皮質ホルモンは、血圧を上昇させる。
4 プロラクチンは、乳汁を分泌する。
5 抗利尿ホルモンは、血中ナトリウム濃度を低下させる。

問26

問26の問題文

くも膜下出⾎の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問26の選択肢

1 脳梗塞に⽐べて頻度が⾼い。
2 症状は 24 時間以内に消失する。
5 緩徐に進⾏する頭痛で発症する。
4 ⾼次脳機能障害の原因ではない。
5 脳動脈瘤の破裂によって起こる。

問26の正答と解説を表示する

問26の正答

5

問26の解説

くも膜下出血は、脳動脈が破れて出血することにより発症する。痛みと嘔気・嘔吐が特徴である。

問27

問27の問題文

アルコール健康障害について、正しいものを 1 つ選べ。

問27の選択肢

1 コルサコフ症候群は、飲酒後に急性発症する。
2 アルコール幻覚症は、意識混濁を主症状とする。
3 アルコール性認知症は、脳に器質的変化はない。
4 離脱せん妄は、飲酒の中断後数⽇以内に起こる。
5 アルコール中毒において、フラッシュバックがみられる。

問27の正答と解説を表示する

問27の正答

4

問27の解説

1 コルサコフ症候群は、脳障害の長期化後に発症する。
2 アルコール性の幻覚で多いのは、幻視である。
3 アルコール性脳障害が長期化すると、脳に器質的な変化が起こることがある。
4 アルコールの離脱症状は、飲酒の中断数日以内に起こることが多い。
5 フラッシュバックは、PTSDで起こることが多い。

問28

問28の問題文

1 型糖尿病の⾼校⽣の治療における留意点として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問28の選択肢

1 運動は禁⽌である。
2 ⾷事療法により治癒できる。
3 2 型糖尿病に将来移⾏するリスクが⾼い。
4 治療を受けていることを担任教師に伝える必要はない。
5 やせる⽬的でインスリン量を減らすことは、危険である。

問28の正答と解説を表示する

問28の正答

5

問28の解説

糖尿病は、インスリンの分泌不足、作用不足から生じる高血糖を特徴とした代謝疾患であり、1型と2型がある。Ⅰ型は比較的若年層に多く、2型は高齢者に多い。1型では、インスリンの生産能力が障害されており、インスリン注射を必要とする。

問29

問29の問題文

せん妄について、適切なものを 1 つ選べ。

問29の選択肢

1 ⼩児では発症しない。
2 注意の障害を呈する。
3 早朝に症状が悪化することが多い。
4 予防には、補聴器の使⽤を控えた⽅がよい。
5 予防には、室内の照度を⼀定にし、昼夜の差をできるだけ⼩さくすることが有効である。

問29の正答と解説を表示する

問29の正答

2

問29の解説

1 せん妄は、高齢男性に多いが、小児にも発症することがある。
2 せん妄の特徴は、注意力、思考力の低下、見当識の障害、意識レベルの変動である。
3 せん妄は、夜間に悪化することが多い。
4 せん妄の治療では、薬物療法や環境調整がある。環境調整として、補聴器を装着している人であれば、それらを装着させることがせん妄の症状を軽減させる可能性がある。
5 昼夜を区別できるような環境調整が必要となる場合がある。

問30

問30の問題文

特定健康診査と特定保健指導について、正しいものを 1 つ選べ。

問30の選択肢

1 公認⼼理師は、特定保健指導を⾏うことができる。
2 特定健康診査は、介護保険法に基づく制度である。
3 76 歳以上の者は、特定保健指導の対象とならない。
4 ⼀定の有害な業務に従事する者は、特定保健指導を受けなければならない。
5 特定健康診査は、要⽀援状態にある 40 歳以上の者を対象として実施される。

問30の正答と解説を表示する

問30の正答

3

問30の解説

1 特定保健指導を行うことができるのは医師、保健師、正看護師、管理栄養士である。
2 特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づく制度である。
3 対象年齢は40歳〜75歳である。
4 一定の有害な業務に従事する者は、「特定保健指導」ではなく「特殊健康診断」を受けなければならない。
5 「要支援状態」という要件は定められていない。

問31

問31の問題文

医療法で規定されている医療提供施設として、正しいものを 1 つ選べ。

問31の選択肢

1 保健所
2 介護⽼⼈保健施設
3 市町村保健センター
4 地域包括⽀援センター
5 産業保健総合⽀援センター

問31の正答と解説を表示する

問31の正答

2

問31の解説

医療法で規定されている医療提供施設は、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設である。

問32

問32の問題文

精神障害などにより、財産管理などの重要な判断を⾏う能⼒が⼗分ではない⼈々の 権利を守り、⽀援する制度を何というか、正しいものを 1 つ選べ。

問32の選択肢

1 医療観察制度
2 介護保険制度
3 成年後⾒制度
4 障害者扶養共済制度
5 ⽣活福祉資⾦貸付制度

問32の正答と解説を表示する

問32の正答

3

問32の解説

認知症、知的障害、精神障害などで、判断能力が不十分である人を保護し支援する制度として、成年後見制度がある。成年後見制度には、法定後見制度と、任意後見制度の2種類がある。

問33

問33の問題文

労働基準法が定める時間外労働の上限規制として、正しいものを 1 つ選べ。

問33の選択肢

1 原則として、⽉ 60 時間とする。
2 原則として、年 360 時間とする。
3 臨時的な特別な事情がある場合には、年 960 時間とする。
4 臨時的な特別な事情がある場合には、⽉ 150 時間(休⽇労働含む)とする。
5 臨時的な特別な事情がある場合には、複数⽉平均 120 時間(休⽇労働含む)とする。

問33の正答と解説を表示する

問33の正答

2

問33の解説

2019(平成31)年4月に、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が改正された。
時間外労働の上限は月45時間、年360時間を原則都市、特別は事情の場合、年720時間・単月100時間未満(休日労働を含む)、複数付きの平均80時間(休日労働を含む)を限度としている。

問34

問34の問題文

⼼理⽀援におけるスーパービジョンについて、誤っているものを 1 つ選べ。

問34の選択肢

1 スーパーバイジーの職業的発達に適合させることが望ましい。
2 スーパービジョンの⽬的の 1 つに、特定のスキルの熟達がある。
3 後進の指導に当たる⽴場では、スーパービジョンの技能を学ぶことが望ましい。
4 スーパービジョンの⽇的の 1 つに、⼼理療法理論の臨床場⾯への応⽤と概念化がある。
5 スーパービジョンとは、スーパーバイジー⾃⾝の⼼理的問題を扱うカウンセリングの ことである。

問34の正答と解説を表示する

問34の正答

5

問34の解説

スーパービジョンとは、スーパーバイジーが、スーパーバイザーに、クライエントとの面接を報告し、指導・助言を得ることによって、ケースに対する理解を深めより良い援助を行えるようにすることである。スーパービジョンは、1対1の個人スーパービジョンだけでなく、1対集団の集団スーパービジョン、仲間同士で行われるピアスーパービジョンがある。

問35

問35の問題文

医療におけるアドバンス・ケア・プランニング〈ACP〉について、誤っているもの を 1 つ選べ。

問35の選択肢

1 話し合いの内容を⽂章にまとめ、診療録に記載しておく。
2 話し合いの構成員の中に、親しい友⼈が含まれることがある。
3 患者の意思は変化する可能性があるため、話し合いは繰り返し⾏われる。
4 患者の意思が確認できない場合は、担当医療従事者が本⼈にとって最善の⽅針を決定 する。
5 患者と多職種の医療・介護従事者、家族等の信頼できる者と今後の医療・ケアについて ⼗分な話し合いを⾏うプロセスである。

問35の正答と解説を表示する

問35の正答

4

問35の解説

アドバンス・ケア・プランニングとは、クライエントと家族、医療関係者などが、皆で人生の最終段階における医療・ケアについて繰り返し話し合うことである。クライエントの意志は変化することがあるため、何度もでも話し合うことが必要であり、話し合いの内容は診療録に記録しておく。厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を参照するとよい。また、厚生労働省は、アドバンス・ケア・プランニングの愛称を「人生会議」としている。

問36

問36の問題文

H.P. Grice の会話の公理〈maxims of conversation〉に該当しないものを 1 つ選べ。

問36の選択肢

1 根拠があることを話す。
2 場の雰囲気に配慮する。
3 過不⾜なく情報を伝える。
4 その時の話題に関連したことを⾔う。
5 曖昧な表現を避け、分かりやすく情報を伝える。

問36の正答と解説を表示する

問36の正答

2

問36の解説

Griceは、量の公理、質の公理、関係性の公理、様式の公理からなる、会話の公理(公準)を提唱した。
1 「質の公理」に該当する。
3 「量の公理」に該当する。
4 「関係性の公理」に該当する。
5 「様式の公理」に該当する。

問37

問37の問題文

成⼈のクライエントに対して⾏う⼼理検査の⽬的として、不適切なものを 1 つ選べ。

問37の選択肢

1 クライエントによる⾃⼰理解や洞察を深める。
2 セラピストのセラピー継続への動機づけを⾼める。
3 クライエントに関わるスタッフの⽀援の⼿がかりとする。
4 セラピストがクライエントの理解を深め、⽀援の⽅針を決定する指標にする。
5 セラピストとクライエントの間で、コミュニケーションやセラピーを深める道具とす る。

問37の正答と解説を表示する

問37の正答

2

問37の解説

心理検査は、クライエントにとっては、自己理解や洞察を深める手立てとなり、セラピストにとっては、クライエントについて客観的に把握し理解を深めることで、支援を考える際の手がかりとなる。

問38

問38の問題文

M.E.P. Seligman が提唱する PERMA のそれぞれの頭⽂字の意味として、誤ってい るものを 1 つ選べ。

問38の選択肢

1 P はポジティブな感情を表す。
2 E は⼒を獲得することを表す。
3 R は他者との良い関係を表す。
4 M は⽣きる意味を表す。
5 A は達成を表す。

問38の正答と解説を表示する

問38の正答

2

問38の解説

Pは「Positive Emotion-ポジティブな感情」、Eは「Engagement-積極的関与」、Rは「Relationship-他者との良い関係」、Mは「Meaning-生きる意味・価値」Aは「Accomplishment-達成(感)」の頭文字Aである。

問39

問39の問題文

T.L. Beauchamp と J.F. Childress が提唱した医療倫理の 4 原則に該当しないものを 1 つ選べ。

問39の選択肢

1 正義
2 説明
3 善⾏
4 無危害
5 ⾃律尊重

問39の正答と解説を表示する

問39の正答

2

問39の解説

Beachamp & Childressが提唱した医療倫理の4原則は、自律尊重、無危害、善行、正義である。

問40

問40の問題文

児童の権利に関する条約〈⼦どもの権利条約〉に含まれないものを 1 つ選べ。

問40の選択肢

1 ⽣命に対する固有の権利
2 残余財産の分配を受ける権利
3 出⽣の時から⽒名を有する権利
4 ⾃由に⾃⼰の意⾒を表明する権利
5 できる限りその⽗⺟を知りかつその⽗⺟によって養育される権利

問40の正答と解説を表示する

問40の正答

2

問40の解説

1は第6条、3、5は第7条、4は第12条に定められている。

問41

問41の問題文

医師から依頼を受け、MMSE を実施・解釈し報告する際の公認⼼理師の⾏動として、 不適切なものを 1 つ選べ。

問41の選択肢

1 被検査者の実際の回答内容を解釈に含める。
2 検査時の被検査者の緊張や意欲についても解釈に含める。
3 カットオフ値を上回った場合は、認知症ではないと所⾒を書く。
4 総得点だけでなく、被検査者が失点した項⽬についても報告する。
5 被検査者が難聴で⼝頭による実施ができない場合は、筆談による実施を試みる。

問41の正答と解説を表示する

問41の正答

3

問41の解説

MMSEの結果だけで認知症と判断することは適切ではない。また、診断は医師が行うものである。

問42

問42の問題文

適性処遇交互作⽤について、誤っているものを 1 つ選べ。

問42の選択肢

1 指導⽅法や学習環境のことを処遇という。
2 統計学的には交互作⽤効果によって検証される。
3 学びの成⽴に影響を与える個⼈差要因を適性という。
4 学習者の特徴によって教授法の効果が異なることを指す。
5 他者の援助と学習者の問題解決との中間領域にみられる。

問42の正答と解説を表示する

問42の正答

5

問42の解説

Cronbach,L.J.が提唱した適正処遇交互作用とは、学習者の特徴によって教授法の効果が異なることを示すものである。適正とは、学習者の知的諸能力や認知型、態度などのことをさし、処遇は、指導方法や学習環境のことをさす。

問43

問43の問題文

学校にピアサポート・プログラムを導⼊する⽬的として、不適切なものを 1 つ選べ。

問43の選択肢

1 思いやりのある関係を確⽴する機会を提供する。
2 公共性と無償性という基本を学ぶ機会を提供する。
3 学校のカウンセリング・サービスの幅を広げる機会を提供する。
4 リーダーシップ、⾃尊感情及び対⼈スキルを向上させる機会を提供する。
5 傾聴や問題解決スキルなど他者を援助するスキルを習得する機会を提供する。

問43の正答と解説を表示する

問43の正答

2

問43の解説

ピアサポートとは、仲間同士での支え合いである。

問44

問44の問題文

免疫担当細胞に含まれないものを 1 つ選べ。

問44の選択肢

1 単球
2 好中球
3 ⾚⾎球
4 B 細胞
5 T 細胞

問44の正答と解説を表示する

問44の正答

3

問44の解説

赤血球は、免疫に関与しない。血液の成分は、血球と血漿からなり、血球は、赤血球、白血球、血小板からなる。

問45

問45の問題文

犯罪被害者等基本法に関する記述として、誤っているものを 1 つ選べ。

問45の選択肢

1 犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が被害を受けたときから 3 年間までの間 に講ぜられる。
2 犯罪被害者等が⼼理的外傷から回復できるよう、適切な保健医療サービスや福祉サー ビスを提供する。
3 犯罪被害者等のための施策は、国、地⽅公共団体、その他の関係機関、⺠間の団体等と の連携の下、実施する。
4 刑事事件の捜査や公判等の過程における犯罪被害者等の負担が軽減されるよう、専⾨ 的知識や技能を有する職員を配置する。
5 教育・広報活動を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や、犯罪被害者等の名誉や ⽣活の平穏への配慮について国⺠の理解を深める。

問45の正答と解説を表示する

問45の正答

1

問45の解説

1 犯罪被害者等基本法第3条3項では、「犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする」とされている。
2 第14条に定められている。
3 第7条に定められている。
4 第19条に定められている。
5 第20条に定められている。

問46

問46の問題文

公認⼼理師が、クライエントに⼼理療法を⾏う場合、インフォームド・コンセント を取得する上で、最も適切なものを 1 つ選べ。

問46の選択肢

1 公認⼼理師が考える最善の⽅針に同意するように導く。
2 深刻なリスクについては頻度が低くても情報を開⽰する。
3 ⼼理療法についての説明はクライエントにとって難解なため、最⼩限に留める。
4 クライエントに対して不利益にならないように、⼼理療法を拒否したときの負の結果 については強調して伝える。

問46の正答と解説を表示する

問46の正答

2

問46の解説

インフォームド・コンセントは、「説明と同意」という意味である。を第三者にクライエントの情報を伝える際には、クライエントから同意を得る必要がある。また、心理療法を行う際には、内容や方法、リスク、限界などを説明する。

問47

問47の問題文

公認⼼理師の基本的なコンピテンシーついて、最も適切なものを 1 つ選べ。

問47の選択肢

1 科学的な知⾒を参考にしつつも、直観を優先して判断する。
2 要⽀援者への関わり⽅や対応の在り⽅を⾃ら振り返って検討する。
3 普遍的な視点に⽴ち、⽂化的背景を考慮せず、要⽀援者を同様に扱う。
4 専⾨職としての知識と技術をもとに、最低限の実践ができるようになってから職業倫 理を学ぶ。

問47の正答と解説を表示する

問47の正答

2

問47の解説

コンピテンシーとは、良い成果をもたらし続けるための行動特性のことで、基盤コンピテンシー、機能コンピテンシー、職業的発達という3次元から構成される。コンピテンシーの観点から、「要支援者へのかかわり方や対応の在り方を自ら振り返って検討する」という反省的実践が求められる。

問48

問48の問題文

ストレンジ・シチュエーション法におけるアタッチメントの類型の説明として、最 も適切なものを 1 つ選べ。

問48の選択肢

1 回避型は、養育者との分離場⾯で激しく泣きやすい。
2 安定型は、養育者との分離場⾯で泣きの表出が少ない。
3 無秩序・無⽅向型は、養育者との再会場⾯で激しく泣きやすい。
4 アンビバレント型は、養育者との再会場⾯でしばしば激しい怒りを表出することがあ る。

問48の正答と解説を表示する

問48の正答

4

問48の解説

Ainsworthのストレンジシチュエーション法では、避型、安定型、アンビバレント型、無秩序・無方向型の4種類の型が示されている。
1 回避型は、分離場面での分離不安が弱い。
2 安定型は養育者との分離場面が強い。
3 無秩序・無方向型は養育者との再会場面で、接近と回避のかかわりが同時に見られる。
4 アンビバレント型は、再開場面で怒りを表出する。

問49

問49の問題文

いじめ防⽌対策推進法について、正しいものを 1 つ選べ。

問49の選択肢

1 学校は、いじめ問題対策連絡協議会を置くことができる。
2 学校は、いじめの防⽌に資するものとして、体験活動等の充実を図る。
3 学校は、地⽅公共団体が作成した、いじめ防⽌基本⽅針を⾃校の基本⽅針とする。
4 学校は、いじめ防⽌等の対策を推進するために、財政的な措置を講ずるよう努める。

問49の正答と解説を表示する

問49の正答

2

問49の解説

1 学校ではなく、地方公共団体がいじめ問題対策連絡協議会を置くことができる(第14条)
2 第15条に定められている
3 いじめ防止基本方針は、文部科学大臣が定める(第11条)。
その他、第12,13条も参照。
4 学校ではなく、国および地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずる(第10条)

問50

問50の問題文

⼼理的⽀援活動の理論化について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問50の選択肢

1 参加的理論構成者は、理論化を専⾨に⾏う。
2 地域援助においては、参加的理論構成者としての役割が必要になる。
3 臨床⼼理⾯接の事例論⽂においては、⼀般化に統計的⼿法が必須である。
4 量的データを扱う際には、研究者のリフレクシヴィティ〈reflexivity〉が重要である。

問50の正答と解説を表示する

問50の正答

2

問50の解説

コミュニティ心理学においては、地域援助において必要な役割として、参加的理論構成者が挙げられている。

問51

問51の問題文

個⼈情報保護について、誤っているものを 1 つ選べ。

問51の選択肢

1 本⼈の同意があれば、当該本⼈に関する個⼈データを第三者に提供できる。
2 クライエントが公認⼼理師に対する信頼に基づいて打ち明けた事柄は、個⼈情報に該 当しない。
3 個⼈情報には、指紋や DNA の塩基配列など⾝体に固有の特徴を符号化したデータも含 まれる。
4 個⼈情報取扱事業者は、その取扱う個⼈データについて、安全管理のために必要な措置 を講じなければならない。

問51の正答と解説を表示する

問51の正答

2

問51の解説

秘密保持義務の例外は、
・自傷他害の恐れがある
・虐待の疑いがある
・クライエントにかかわる専門家同士での話し合い
・法による定めがある
・医療保険による支払いが行われる
・クライエントによる明示的な意思表示がある
場合が挙げられる。

問52

問52の問題文

雇⽤の分野における男⼥の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律が⽰す、職場 におけるセクシュアルハラスメントの防⽌対策について、誤っているものを 1 つ選べ。

問52の選択肢

1 労働者がセクシュアルハラスメントに関して事業主に相談したこと等を理由とした不 利益な取扱いを禁⽌する。
2 紛争調整委員会は、セクシュアルハラスメントの調停において、関係当事者の同意を得 れば、職場の同僚の意⾒を聴取できる。
3 労働者の責務の 1 つとして、セクシュアルハラスメント問題に対する関⼼と理解を深 め、他の労働者に対する⾔動に必要な注意を払うことを定めている。
4 事業主は、他且から職場におけるセクシュアルハラスメントを防⽌するための雇⽤管 理上の措置の実施に関して必要な協⼒を求められた場合に、応じるよう努めなければなら ない。

問52の正答と解説を表示する

問52の正答

2

問52の解説

紛争調整委員会は、当事者の同意を得ることなく、職場の同僚の意見を聴取できる。

問53

問53の問題文

要保護児童対策地域協議会について、正しいものを 2 つ選べ。

問53の選択肢

1 対象は、被虐待児童に限られる。
2 構成する関係機関は、市町村と児童相談所に限られる。
3 関係機関相互の連携や、責任体制の明確化が図られている。
4 要保護児童対策地域協議会における情報の共有には、保護者本⼈の承諾が必要である。
5 被虐待児童に対する情報を共有することにより、児童相談所によって迅速に⽀援を開 始できる。

問53の正答と解説を表示する

問53の正答

3.5

問53の解説

1 対象は、要保護児童、要支援児童、特定妊婦である。
2 児童相談所や福祉事務所、保育所、保健所や医療機関、学校や警察署など、多様な機関とそこで従事するものが関わっている。
3 関係機関相互の連携や責任体制の明確化が図られている。
4 保護者本人の承諾は必要ない。
5 被虐待児童に対する情報を共有することにより、児童相談所によって迅速に支援を開始できる。

問54

問54の問題文

マインドフルネスに基づく認知⾏動療法として、適切なものを 2 つ選べ。

問54の選択肢

1 内観療法
2 応⽤⾏動分析
3 弁証法的⾏動療法
4 アサーション・トレーニング
5 アクセプタンス&コミットメント・セラピー〈ACT〉

問54の正答と解説を表示する

問54の正答

3.5

問54の解説

1 内観療法は、「していただいたこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3点を内省する。浄土真宗の身調べを発展させたもので、吉本伊信が考案した。集中内観と日常内観がある。
2 応用行動分析は、Skinnerが発展させた。先行刺激、行動、結果といった、三項随伴性ををもとにアセスメントを行い、支援する。
3 Marsha M. Linehanによって開発された弁証法的行動療法(dialectical behavior therapy:DBT)は、境界性パーソナリティ障害の認知行動療法で、弁証法、マインドフルネス、行動分析学の要素が取り入れられている。
4 アサーション・トレーニングとは自己表現を身に付けるためのトレーニングで、自分も相手も大切にしながら、自分の気持ちをその場に合った適切な方法で伝えられるようなコミュニケーション方法をとる。
5 アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、マインドフルネスの技法が導入されている。

問55

問55の問題文

我が国における⼦どもの貧困問題について、適切なものを 2 つ選べ。

問55の選択肢

1 学⼒達成や教育機会に対する影響は⼩さい。
2 貧困と児童虐待の発⽣には、関連がみられる。
3 ⼦どもの貧困と関連する問題は、顕在化しやすい。
4 貧困状態にある⺟⼦世帯の 8 割以上が、⽣活保護を受給している。
5 ⽣活保護を受給する家庭で育った⼦どもは、出⾝世帯から独⽴した後も⽣活保護を受 給する割合が⾼い。

問55の正答と解説を表示する

問55の正答

2.4

問55の解説

問56

問56の問題文

特別⽀援教育の推進について(平成 19 年 4 ⽉、⽂部科学省)が⽰す特別⽀援教育コ ーディネーターの役割として、適切なものを 2 つ選べ。

問56の選択肢

1 保護者に対する学校の窓⼝となる。
2 特別⽀援教育の対象となる児童⽣徒を決定する。
3 特別⽀援教育の対象となる児童⽣徒に対して、直接指導を⾏う。
4 特別⽀援教育の対象となる児童⽣徒について、学校と関係機関との連絡や調整を担う。
5 外部の専⾨機関が作成した「個別の教育⽀援計画」に従い、校内の⽀援体制を整備する。

問56の正答と解説を表示する

問56の正答

1.4

問56の解説

文部科学省「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(平成15年3月)において、下記が示されている。
特別支援教育コーディネーター(仮称)の役割
(1)学校においては、教職員全体の特別支援教育に対する理解の下に、学校内の協力体制を構築するだけでなく、学校外の関係機関との連携協力が不可欠である。
盲・聾・養護学校には、専門性のある教員や障害に対応した施設や設備があり、ほとんどの教育・指導上の活動は学校内で工夫の上で実施されることが多いが、例えば、医療的ケアの必要な児童生徒への対応のための医療機関や福祉機関との連携協力、学校外の専門家の非常勤講師としての活用など、常に児童生徒のニーズに応じた教育を展開していくための柔軟な体制づくりを検討することが肝要である。
また、小・中学校においては、教職員の配置又は施設若しくは設備の状況を踏まえれば独自に対応するには限界があるため、盲・聾・養護学校や医療・福祉機関との連携協力が一層重要である。
(2)このように、保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また、学校内の関係者や福祉、医療等の関係機関との連絡調整役としての役割が必要となり、具体的には、各学校において、障害のある児童生徒の発達や障害全般に関する一般的な知識及びカウンセリングマインドを有する者を、学校内及び関係機関や保護者との連絡調整役としてのコーディネーター的な役割を担う者(特別支援教育コーディネーター(仮称))として、学校の校務として明確に位置付ける等により小・中学校又は盲・聾・養護学校に置いて、関係機関との連携協力の体制整備を図ることが重要である。また、盲・聾・養護学校の後述するような特別支援学校(仮称)としての地域での役割を踏まえれば、関係機関間の連絡調整を行う役割を有する特別支援教育コーディネーターについて具体的に検討することが重要である。

問57

問57の問題文

司法場⾯における認知⾯接で、⾯接者が被⾯接者に対して求めることとして、適切 なものを 2 つ選べ。

問57の選択肢

1 ⽂脈の⼼的再現
2 視点を変えての想起
3 毎回同じ順序での想起
4 確信が持てる内容を選んで話すこと
5 話す内容に⽭盾があればその都度説明すること

問57の正答と解説を表示する

問57の正答

1.2

問57の解説

認知面接法の特徴は、文脈の心的再現、異なる順序・視点での想起、全ての報告が求められる。

問58

問58の問題文

治療と仕事の両⽴⽀援について、適切なものを 2 つ選べ。

問58の選択肢

1 仕事の繁忙などが理由となる場合には、就業上の措置や配慮は不要である。
2 労働者の個別の特性よりも、疾病の特性に応じた配慮を⾏う体制を整える。
3 事業場における基本⽅針や具体的な対応⽅法などは、全ての労働者に周知する。
4 労働者本⼈からの⽀援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことを基本とす る。
5 労働者が通常勤務に復帰した後に同じ疾病が再発した場合には、両⽴⽀援の対象から 除外する。

問58の正答と解説を表示する

問58の正答

3.4

問58の解説

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省)より引用する。
1 安全と健康の確保:治療と仕事の両立支援に際しては、就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならないこと。
2 労働者本人の申出:治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要であること
3 事業者による基本方針等の表明と労働者への周知:衛生委員会等で調査審議を行った上で、事業者として、治療と仕事の両立支援に取り組むに当たっての基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、全ての労働者に周知することで、両立支援の必要性や意義を共有し、治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成すること。
4 労働者本人の申出:治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要であること。
5 疾病が再発した場合の対応:労働者が通常勤務に復帰した後に、同じ疾病が再発した場合の両立支援も重要である。事業者は、治療と仕事の両立支援を行うに当たっては、あらかじめ疾病が再発することも念頭に置き、再発した際には状況に合わせて改めて検討することが重要である。

問59

問59の問題文

ストレッサー、ネガティブな⾃動思考(以下「⾃動思考」という。)及び抑うつ反応 の 3 つの変数を測定した。ストレッサーは、調査前の出来事を測定した。変数間の相関係数 を算出したところ、ストレッサーと抑うつ反応の相関係数は、0.30、ストレッサーと⾃動思 考の相関係数は 0.33、⾃動思考と抑うつ反応の相関係数は 0.70 で、いずれの相関係数も有 意であった。パス解析を⾏ったところ、ストレッサーから⾃動思考への標準化パス係数は 0.31 で有意であり、⾃動思考から抑うつ反応への標準化パス係数は 0.64 で有意であり、ストレッサーから抑うつ反応への標準化パス係数は 0.07 で有意ではなかった。 以上の結果から解釈可能なものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問59の選択肢

1 ⾃動思考は、抑うつ反応に対して影響を与える説明変数ではない。
2 抑うつ反応は、ストレッサーに対して影響を与える説明変数である。
3 ⾃動思考が根本的な原因として、ストレッサーと抑うつ反応の両⽅を説明している。 4 ⾃動思考が根本的な原因として、ストレッサーと抑うつ反応の両⽅を説明している。 5 抑うつ反応に対して、ストレッサーと⾃動思考は対等に説明する変数となっている。

問59の正答と解説を表示する

問59の正答

3

問59の解説

問60

問60の問題文

32 歳の⼥性 A、2 歳の⼦どもの⺟親。A は、市の⼦育て⽀援センターで、公認⼼理 師 B に育児不安について相談した。3 年前に結婚により仕事を辞め、2 年半前から夫の転勤 で C 市に住んでいる。夫は優しいが、仕事が忙しいため、A は⼀⼈で家事や育児を⾏うこ とが多い。知り合いや友⼈も少なく、育児について気軽に相談できる相⼿がおらず、孤独感 に陥るという。B は A に対し、地域の育児サロンなどに参加し、育児や⾃分の気持ちにつ いて話すなど、⼦育て中の⺟親との交流を提案した。
B の A への提案のねらいとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問60の選択肢

1 感情制御
2 グリーフケア
3 情緒的サポート
4 セルフ・モニタリング
5 ソーシャル・スキルズ・トレーニング〈SST〉

問60の正答と解説を表示する

問60の正答

3

問60の解説

1 「育児や⾃分の気持ちにつ いて話すなど、⼦育て中の⺟親との交流を提案」をしており、感情制御をねらいとしていない。
2 グリーフケアとは、喪失に対する悲嘆のケアである。多くの場合、6カ月以内に回復するとされているが、悲嘆が6カ月以降続き、日常生活に支障をきたす際には、複雑性悲嘆といわれる。
3 ソーシャルサポートは、日常の人間関係における、他者からの援助である。情緒的サポート、道具的サポート、評価的サポート、情報的サポートがある。
4 セルフ・モニタリングは、自分の感情や考え、行動を自分で観察したり記録したりすること。Snyder,Mが提唱した。認知行動療法や行動療法等で取り入れられている。
5 ソーシャルスキルトレーニングとは、人とのやりとりや、対人関係におけるストレス回避や認知、コーピングを学んでいく認知行動療法のこと。

問61

問61の問題文

5 歳の男児 A、幼稚園児。A が 4 歳のときに、おやつが準備されるのを待てずに⼿ が出てしまう、1 歳下の弟とのきょうだいげんかが激しいといったことを⺟親が⼼配し、教 育センターの公認⼼理師に相談するために来所した。A には、⺟⼦関係の問題や発達的なつ まずきはみられなかったため、⽉に 1 度の相談で経過をみていたところ、5 歳の誕⽣⽇を過 ぎた頃から、弟とのけんかが減った。おやつもすぐに⾷べずに待てるようになったとのこと である。
A の状態の背景に考えられる⼼理的発達として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問61の選択肢

1 共同注意
2 ⾃⼰抑制
3 脱中⼼化
4 メタ認知
5 アタッチメント

問61の正答と解説を表示する

問61の正答

2

問61の解説

1 共同注意は、1歳前後に成立する。
2 「けんかが減った」「おやつもすぐに食べずに待てるようになった」背景には、自己抑制の発達が考えられる。自己抑制には、遅延可能、制止・ルールへの従順、フラストレーション耐性、持続的対処・根気の4領域がある。
3 J. Piaget は、7~11歳頃の具体的操作段階に、自己中心的な認識からの脱却である脱中心化がおこなわれるとしている。
4 メタ認知は、自分の認知活動を、自分で自覚する認知のことである。
5 アタッチメントは、愛着ともいわれ、特定の他者との情緒的絆のことである。

問62

問62の問題文

22 歳の男性 A、⼤学 4 年⽣。公認⼼理師 B が所属する⼤学の学⽣相談室に来室し た。A は、6 つの企業の就職⾯接に応募したが、全て不採⽤となり、就職活動を中断した。 その後、就職の内定を得た友⼈が受講している授業に出席できなくなり、⼀⼈暮らしのアパ ートにひきこもり気味の⽣活になっている。A は、「うまく寝付けなくなって、何事にもや る気が出ず、⾃分でも将来何がしたいのか分からなくなって絶望している」と訴えている。
B の A への初期対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問62の選択肢

1 就職活動を再開するよう励ます。
2 抑うつ状態のアセスメントを⾏う。
3 保護者に連絡して、A への⽀援を求める。
4 発達障害者のための就労⽀援施設を紹介する。
5 単位を取得するために、授業に出席することを勧める。

問62の正答と解説を表示する

問62の正答

2

問62の解説

公認心理師の初期対応では、ラポールを築くと同時に、アセスメントをすることが求められる。

問63

問63の問題文

公認⼼理師 A が主演者である学会発表において、実験結果の報告のためのスライド を準備している。実験の背景、⽬的、結果、考察などをまとめた。A は他者の先⾏研究で⽰ された実験結果の⼀部を参考論⽂から抜き出し、出所を明らかにすることなく⾃分のデー タとして図を含めてスライドに記述した。
このまま発表する場合、該当する不正⾏為を 1 つ選べ。

問63の選択肢

1 盗⽤
2 改ざん
3 ねつ造
4 多重投稿
5 利益相反

問63の正答と解説を表示する

問63の正答

1

問63の解説

盗用とは、「他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること」である(文部科学省「研究活動の不正行為等の定義」)。
2 改ざんとは、「研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること」である(文部科学省「研究活動の不正行為等の定義」)。
3 捏造とは、「存在しないデータ、研究結果等を作成することである(文部科学省「研究活動の不正行為等の定義」)。
4 一般社団法人 日本心理臨床学会は、多重投稿に該当する例として、以下の5点を挙げている。
① 新規投稿論文が,すでに公刊された著作または既発表ないし心理臨床学研究他の学術雑誌に投稿中の論文と,研究対象,方法,結果及びその解釈において明確な差異がみられ
ず,ほとんど同一内容である場合。
② 既発表または投稿中の論文の本文や図表等の一部を新規投稿論文に引用した際に,出典ないしは投稿先を明記していない場合。
③ 新規投稿論文の著者が,同一内容あるいは極めて類似した内容の既発表または他の学術雑誌ないし心理臨床学研究に投稿中の論文の連名著者や共同執筆者の一人となっている場
合。
④ 本来は一つであるべき研究内容を小さく分割して,心理臨床学研究に継時的に新規論文としてあるいは複数の学術雑誌に投稿した場合。
⑤ すでにある言語で発表した論文を,他の言語に翻訳して「新規投稿論文」とした場合。

問64

問64の問題文

28 歳の⼥性 A。A が⽣活する地域に⼤規模な地震が発⽣し、直後に被災地外から派 遣された公認⼼理師 B が避難所で⽀援活動を⾏っている。地震発⽣から約 3 週間後に、A から B に、「地震の後から眠れない」と相談があった。A の家は無事だったが、隣家は⼟砂 に巻き込まれ、住⼈は⾏⽅不明になっている。A はその様⼦を⽬撃していた。A によれば、 最近崩れる隣家の様⼦が繰り返し夢に出てきて眠れず、隣家の⽅向を向くことができずに いる。同居の家族から⾒ても焦燥感が強くなり、別⼈のようだという。
B の A への対応として、最も優先されるものを 1 つ選べ。

問64の選択肢

1 ジョギングなどの運動を勧める。
2 ⽣き残った者の使命について話し合う。
3 リラックスするために腹式呼吸法を指導する。
4 ⾏⽅不明になった住⼈が必ず発⾒されると保証する。
5 現地の保健医療スタッフに情報を伝えることへの同意を得る。

問64の正答と解説を表示する

問64の正答

5

問64の解説

災害発生後早期の心理的支援をPFA(サイコロジカル・ファーストエイド)という。WHO版のPFAでは、「見る」「聞く」「つなぐ」を基本的な活動原則としている。本問では、本人の同意を得た上で、現地の保健医療スタッフに情報を伝え、役立つ支援につなぐことが、最も優先すべき対応として求められる。

問65

問65の問題文

70 歳の⼥性 A。⻑男、⻑男の妻及び孫と暮らしている。A は、1 年ほど前に軽度の Alzheimer 型認知症と診断された。A は、診断後も⾃宅近所のスポーツジムに⼀⼈で出かけ ていた。1 か⽉ほど前、⾃宅をリフォームし、収納場所が新たに変わった。それを機に、探し物が増え、スポーツジムで使う物が⾒つけられなくなったため、出かけるのをやめるよう になった。A は、物の置き場所をどう⼯夫したらよいか分からず、困っているという。 A に対して⾏うべき⾮薬物的介⼊として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問65の選択肢

1 ライフヒストリーの回想に焦点を当てた介⼊
2 ⽇常⽣活機能を補う⽅法の確⽴に焦点を当てた介⼊
3 有酸素運動や筋⼒強化など、複数の運動を組み合わせた介⼊
4 物事の受け取り⽅や考えの歪みを修正し、ストレス軽減を図る介⼊
5 ⾳楽を聴く、歌うなどの⽅法によって構成されたプログラムによる介⼊

問65の正答と解説を表示する

問65の正答

2

問65の解説

本問では、「自宅をリフォームし、収納場所が新たに変わった」ことがきっかけになり、探し物が増え、使用するものが見つけられなくなったり、物の置き場所をどう工夫したらよいかわからずに困ったりしている。そのため、環境の変化による影響について配慮し、日常生活機能を補う方法を検討することが求められる。

問66

問66の問題文

67 歳の男性 A、税理⼠。重度認知症の⺟親 B と⼆⼈で暮らしている。A は、B の介 護をしながら税理⼠の仕事をしている。A は、1 年前から集中⼒や思考⼒が低下して、仕事 が捗らなくなった。ミスも増えたため、仕事を辞めようかと悩んでいた。物忘れ、不眠、⾷ 欲低下についてもかなり⼼配していた。A は、現在の状態が B の初期症状と類似している のではないかと⼼配し、医療機関を受診した。A は、⼿段的⽇常⽣活動作〈IADL〉に問題 はなく、HDS-R は 29 点、⽼年期うつ検査-15-⽇本版〈GDS-15-J〉は 13 点であった。
診断として疑われる A の状態として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問66の選択肢

1 うつ病
2 パニック症
3 前頭側頭型認知症
4 Lewy ⼩体型認知症
5 ⼼的外傷後ストレス障害〈PTSD〉

問66の正答と解説を表示する

問66の正答

1

問66の解説

HDS―R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知症や全般的な認知機能の評価のための検査である。20点以下で、認知症の可能性の疑いがある。
GDS-15-J(老年期打つ検査-15-日本版)では、5点以上がうつ傾向、10点以上がうつ状態とされる。本問では、GDS-15-Jが13点であることに加え、集中力や思考力の低下、不眠、食欲低下などの状態からから、うつ病が疑われる。

問67

問67の問題文

⼩学 3 年⽣のある学級では、1 学期の始めから学級での様々な活動に対し積極的で ⾃主的に取り組む様⼦がみられた。そこで、児童のやる気をさらに⾼めるために、児童が⾏ った活動に点数をつけて競わせることが試みられた。その結果、2 学期になると、次第に点 数のつかない活動では、児童の⾃主的な取組がみられなくなり、3 学期になるとさらにその 傾向が顕著になった。
この現象を説明するものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問67の選択肢

1 学級⾵⼟
2 遂⾏⽬標
3 期待価値理論
4 ピグマリオン効果
5 アンダーマイニング効果

問67の正答と解説を表示する

問67の正答

5

問67の解説

内発的動機づけによる行動に対し、報酬を与えることで、もともとの内発的動機づけを低下
させることを、アンダーマイニング効果という。逆に、報酬を得ることによって、モチベーションが高まることを、エンハンシング効果という。

問68

問68の問題文

45 歳の男性 A、⼩学校に勤務しているスクールカウンセラー。A が勤務する⼩学校 では、「ともに学び、ともに育つ」という教育⽬標のもとで、「⽀え合う学級集団づくり」に 取り組んでいた。A は、5 年⽣の担任教師からクラスの児童同⼠の⼈間関係の改善や児童相 互の理解を豊かにするための授業を実施してほしいと依頼を受けた。そこで、A は児童がよ
り主体的・対話的で深い学びができるように、アクティブラーニングを取り⼊れた授業を⾏ うことにした。
A が⾏うアクティブラーニングの視点を⽤いた指導法として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問68の選択肢

1 児童の個性に合うように、複数の⽅法で教える。
2 学習内容が定着するように、内容を数回に分けて⾏う。
3 全員が同じ内容を理解できるように、⼀⻫に授業を⾏う。
4 全員が正しく理解できるように、原理を積極的に解説する。
5 具体的に理解できるように、例話の登場⼈物のセリフを考えさせる。

問68の正答と解説を表示する

問68の正答

5

問68の解説

アクティブラーニングは、「主体的、対話的で深い学び」ともいわれる学習方法である。登場人物のセリフを考えさせることで、主体的な学びをひきだそうとしていると考えられる。

問69

問69の問題文

16 歳の男⼦ A、⾼校 1 年⽣。万引きにより逮捕され、少年鑑別所に収容された後、 家庭裁判所の審判により保護観察処分となった。A は、審判終了後すぐに⺟親 B と共に保 護観察所に来た。A の居住する地域を担当している保護監察官 C が、初回の⾯接を⾏うこ とになった。審判直後であり、家庭裁判所からは、⽒名、年齢、⾮⾏名、遵守事項に関する 意⾒など、最⼩限の情報が届いている。
C の初回⾯接における対応⽅針として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問69の選択肢

1 特別遵守事項を設定する。
2 担当する保護司が同席できるよう⼿配する。
3 保護処分の決定に対する抗告について説明する。
4 関係構築を優先し、家族関係や成育歴についての質問は控える。
5 家庭裁判所において既に確認されているため、事件内容についての質問は控える。

問69の正答と解説を表示する

問69の正答

1

問69の解説

1 特別遵守事項の設定は、保護観察所の長が行う。
2 保護観察は保護観察官と保護司の協力によって実施される。
3 抗告の説明や対応を行うのは付添人である。
4 必要に応じて、家族関係や成育歴について質問する。
5 必要に応じて、事件内容について質問をする。

問70

問70の問題文

製造業 A 社は、これまで正社員の⼤半が男性であった。ここ数年の労働⼒不⾜を背 景に、様々な⼈材を登⽤する機会を模索している。⼥性の管理職の増加を⽬指したキャリア コンサルティングの実施、外国⼈社員に伴って来⽇した配偶者の採⽤に加え、社内に障害者 ⽀援委員会を設置して精神障害者の就労⽀援を⾏うなど、個々の違いを認め、尊重し、それ らを組織の競争優位性に活かそうとする取組を⾏った。その取組をきっかけとして、⼥性社 員、⾼齢者や国籍の異なる社員なども少しずつ増えて、今では属性の異なった⼈と協働する 機会が増えている。
この A 社の取組を全体的に表すものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問70の選択肢

1 コンプライアンス
2 キャリアマネジメント
3 ポジティブアクション
4 アファーマティブアクション
5 ダイバーシティマネジメント

問70の正答と解説を表示する

問70の正答

5

問70の解説

1コンプライアンスとは、法令を遵守することである。
2 キャリアマネジメントとは、キャリア構築に際する計画・実行のことである。
3 ポジティブアクションとは、「社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のこと」である(男女共同参画局)。
4 アファーマティブアクションは、積極的格差是正措置のことである。
5 ダイバーシティは、多様性と訳される。ダイバーシティマネジメントとは、組織が、従業員の多様性を尊重し、活用しながら組織力を高めていくことである。

問71

問71の問題文

39 歳の男性 A、会社員。A は、中途採⽤で⼊社して 10 年⽬になるが、これまで会 社内での⼈付き合いは良好で、安定した仕事ぶりから上司の信頼も厚い。最近になり、A は、 キャリアに希望が持てないと企業内相談室に来室した。「今この会社を辞めたら損失が⼤き いので、この先も勤めようと思う」と述べる⼀⽅で、「この会社を離れるとどうなるか不安 である」、「今この会社を辞めたら⽣活上の多くのことが混乱するだろう」と述べた。 A の発⾔内容から考えられる A の組織コミットメントとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問71の選択肢

1 規範的コミットメント
2 ⾏動的コミットメント
3 情緒的コミットメント
4 存続的コミットメント
5 態度的コミットメント

問71の正答と解説を表示する

問71の正答

4

問71の解説

存続的コミットメントとは、組織を離れることが自分にとって損失となるため、その組織にとどまるというコミットメントである。「今この会社を辞めたら生活上の多くのことが混乱する」という思いは、会社をやめることでの損失が大きいため、今後も勤めようという思いがあると考えられる。

問72

問72の問題文

53 歳の⼥性 A。もともと軽度の弱視がある。⼤学卒業後、管理栄養⼠として働いて いたが、結婚後、出産を機に退職し、その後、職には就いていない。2 年前に⼀⼈娘が就職 し⼀⼈暮らしを始めた頃から、抑うつ的になることが増え、⾝体のほてりを感じることがし ばしばあり、頭痛や倦怠感がひどくなった。また、これから何をしてよいのか展望が持てな くなり、不安な状態が続いていた。しかし、最近、かつて仕事でも趣味でもあった料理を、
ボランティアで 20 歳から 30 歳代の⼥性らに教える機会を得て、彼⼥らとの会話を楽しみ にするようになっている。
A のここ数年来の⼼⾝の状態として、該当しないものを 1 つ選べ。

問72の選択肢

1 更年期障害
2 空の巣症候群
3 アイデンティティ危機
4 ⽣成継承性〈generativity〉
5 セルフ・ハンディキャッピング

問72の正答と解説を表示する

問72の正答

5

問72の解説

1 「抑うつ的」、「身体のほてり」という言葉から、更年期障害が背景にあることが考えられる。
2 「一人娘が就職し一人暮らしを始めた頃から抑うつ的」とあり、空の巣症候群を示している。
3 Ericssonが提唱した心理社会的発達理論には、乳児期、幼児前期、幼児後期、学童期、青年期、成人期、壮年期、老年期の8つの発達段階がある。本問では、成人期に起こる、生成継承性vs 停滞性の危機に直面していると考えられる。
4 「料理を、ボランティアで20歳から30歳代の女性らに教える機会を得て」おり、価値を次世代へ継承しようとしている。
5 セルフ・ハンディキャッピングとは、自分の失敗を外的条件に求め、成功を内的条件に求めるような行動や合理化のことである。獲得的セルフ・ハンディキャッピングや主張的セルフ・ハンディキャッピングがある。

問73

問73の問題文

50 歳の⼥性 A。抑うつ気分が続いているために精神科に通院し、院内の公認⼼理師 B が対応することになった。7 か⽉前に A の 17 歳の娘が交際相⼿の男性と外出中にバイク の事故で亡くなった。事故からしばらく経ち、A は、事故直後のショックからは⼀時的に⽴ ち直ったように感じていたが、3 か⽉ほど前から次第に抑うつ状態となった。「どうしてあ の⽇娘が外出するのを⽌めなかったのか」と⾃分を責めたり、急に涙があふれて家事が⼿に つかなくなったりしている。
B の A への対応として、不適切なものを 1 つ選べ。

問73の選択肢

1 悲しみには個⼈差があるということを説明する。
2 娘の死を思い出さないようにする活動がないか、⼀緒に探索する。
3 A が体験している様々な感情を確認し、表現することを援助する。
4 ⼦どもを亡くした親が体験する⼀般的な反応について、情報を提供する。
5 娘が死に⾄った背景について、多様な観点から⾒直してみることを促す。

問73の正答と解説を表示する

問73の正答

2

問73の解説

感情を表出することができるようにすることも大切であるため、「思い出さないようにする」という対応は不適切である。

問74

問74の問題文

35 歳の⼥性 A、公⽴中学校のスクールカウンセラー。近隣の中学校で、いじめが原 因と疑われる⽣徒の⾃殺が起きた。A は、教育委員会から緊急⽀援のために当該中学校に派 遣された。A は、緊急⽀援の内容を事前に校⻑と相談した上で、介⼊を⾏うこととなった。 中学校の現在の様⼦は、⽣徒の保健室の利⽤が増えてきており、⽣徒や保護者の間では、⾃ 殺についての様々な臆測や噂も流れ始めている。
A が⾏う緊急⽀援として、不適切なものを 1 つ選べ。

問74の選択肢

1 動揺している⽣徒に対して、個別に⾯接を⾏う。
2 動揺している保護者に対して、個別に⾯接を⾏う。
3 教師に対して、⾃⾝の⼼⾝のケアについての⼼理教育を⾏う。
4 ⾃殺をした⽣徒に対するいじめの有無について、周囲の⽣徒から聞き取りを⾏う。
5 教師に対して、予想される⽣徒のストレス反応とその対処についての⼼理教育を⾏う。

問74の正答と解説を表示する

問74の正答

4

問74の解説

スクールカウンセラーが行うべき緊急支援として、1,2,3,4は適切であるが、いじめの有無について、周囲の生徒から聞き取りを行うことは、スクールカウンセラーの役割ではない。「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」(平成22年3月 文部科学省)を参照するとよい。

問75

問75の問題文

70 歳の⼥性 A。A は、A の夫である会社役員の B に付き添われ、開業している公認 ⼼理師 C のもとを訪れた。B によると、A は⾃宅近くのスーパーマーケットで⼤好きなお 菓⼦を万引きし、店を出てから⾷べているところを警備員に発⾒されたとのこと。A は、「万 引きはそのときが最初で最後であり、理由は⾃分でもよく分からない」と述べるとともに、同居している半⾝不随の B の⺟親の介護を⼀⼈で⾏っているため⾃分の時間を持てないこ とや、B が介護は A の仕事であると⾔っていることへの不満を述べた。A と B は、C に対 して A が⼆度と万引きしないようになるための助⾔を求めている。
C の A への理解として、不適切なものを 1 つ選べ。

問75の選択肢

1 A は、窃盗症の疑いが強い。
2 A は、ストレスヘの対処⼒が弱まっている。
3 A と B の夫婦間コミュニケーションが不⼗分である。
4 A にとっては、B の⺟親の介護が負担になっている。
5 A に器質的疾患があるかどうかを確認する必要がある。

問75の正答と解説を表示する

問75の正答

1

問75の解説

DSM-5において、窃盗症は、繰り返されるとされている。Aは「万引きはそのときが最初で最後」と述べているため、1が不適切となる。

問76

問76の問題文

20 歳の⼥性 A、⼤学 3 年⽣。A は、⺟親 B と精神科を受診した。B によると、A は、 1 か⽉前に親友が交通事故に遭うのを⽬撃してから、物⾳に敏感になり不眠がちで、ささい なことでいらいらしやすく、集中⼒がなくなったという。⼀⽅、初診時に A は、「事故のダ メージはない。⺟が⼼配し過ぎだと思う」と声を荒げ、強い調⼦で B や医師の話をさえぎ った。医師の依頼で、公認⼼理師 C が A の状態把握の⽬的で⼼理検査を施⾏した。検査⽤ 紙を渡すと、A はその場で即座に記⼊した。結果は、BDI-Ⅱは 10 点、IES-R は 9 点であっ た。
C が A の⼼理検査報告書に記載する内容として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問76の選択肢

1 ⼼理検査の得点や B の観察、A の様⼦からは、PTSD が推測される。
2 ⼼理検査の得点からは A の PTSD の可能性は低いため、⽀援や治療が必要なのは過度 に⼼配する B である。
3 ⼼理検査の得点からは PTSD の可能性が⾼いが、A が否定しているため、結果の信ぴ ょう性に問題がある。
4 ⼼理検査の得点からは PTSD の可能性は低いが、その他の情報と齟齬があるため、再 アセスメントが必要である。
(注:「PTSD」とは、「⼼的外傷後ストレス障害」である。)

問76の正答と解説を表示する

問76の正答

4

問76の解説

BDI-Ⅱ(ベック抑うつ質問票)は自記式抑うつ評価尺度で、14~19点で軽症、20~28点で中等症、29~63点で重症の可能性とされる。IES-Rは、PTSDの症状評価尺度で、25点以上でPTSD発症のリスクが高いとされている。本問では、IES-Rが9点でカットオフ値よりも低いが、「物音に敏感になり不眠がちで、ささいなことでいらいらしやすく集中力がなくなっ」ているという状況をふまえ、再アセスメントが求められる。

問77

問77の問題文

7 歳の男児 A、⼩学 1 年⽣。A は、スクールカウンセラーB の相談室の開放時間に、 よく訪れていた。最近、A が学校に連絡なく 2 ⽇間⽋席したため、担任教師と⼀緒に B が A 宅を家庭訪問した。A は、アパートの階段下に座っていたが、最初、B らの質問に何も答 えなかった。やがて、「お⽗さんがお⺟さんを叩いている。家ではけんかばかりだし、僕も 叩かれることがある」と話した。「他の⼈にけんかのことを話すとお⽗さんとお⺟さんに叱 られる」とも訴えた。
B や学校がとるべき初期対応として、適切なものを 2 つ選べ。

問77の選択肢

1 A の両親と⾯談をして、信頼関係の構築を図る。
2 A に両親のけんかの原因や頻度などを詳しく質問する。
3 児童虐待の確証を得られるよう、近隣住⺠から情報収集をする。 4 A から聞いた発⾔やその際の表情・態度をそのまま記録しておく。 5 校内で協議の上、市町村の虐待対応担当課⼜は児童相談所に通告する。

問77の正答と解説を表示する

問77の正答

4.5

問77の解説

1、2 Aの安全を確保することが最優先である。
3 学校がとるべき対応ではない。
4 他機関と連携をとる上でも、Aから聞いた発言やその際の表情・態度をそのまま記録しておくことが大切である。
5 児童への虐待の疑いがある場合には、福祉事務所や児童相談所に通告する義務がある。

問78

問78の問題文

問 78 公認⼼理師が担当する成⼈のクライエントに関する情報を、本⼈の同意なく開⽰す ることについて、秘密保持義務違反に当たるものはどれか、最も適切なものを 1 つ選べ。

問78の選択肢

1 クライエントが、友⼈に危害を加える可能性が⾼い場合、当事者に知らせる。
2 クライエントが、1 歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報する。
3 所属する医療チーム内で、クライエントの主治医及び担当看護師と情報を共有する。 4 クライエントが、⾃殺を企図する可能性が⾼い場合、同居している保護者に連絡する。 5 別居中の⺟親から⾳信不通で⼼配していると相談された場合、クライエントの居場所 を教える。

問78の正答と解説を表示する

問78の正答

5

問78の解説

秘密保持義務の例外は、
・自傷他害の恐れがある
・虐待の疑いがある
・クライエントにかかわる専門家同士での話し合い
・法による定めがある
・医療保険による支払いが行われる
・クライエントによる明示的な意思表示がある
場合が挙げられる。
家族であっても、クライエントの情報を伝える際は、クライエントに同意を得る必要がある。

問79

問79の問題文

教育相談の現場での遊戯療法において、⼩学 4 年⽣の⼥⼦ A が、「授業が分からな い」、「友達がいなくて学校に居場所がない」、「お⽗さんがお布団に⼊ってくる」、「おばあち ゃんが⼊院中で死なないか⼼配」と話した。
公認⼼理師として、最も優先的に考慮するべきものを 1 つ選べ。

問79の選択肢

1 A の学⼒
2 A の相⺟の病状
3 A の⽗親の⾏動
4 A の学校での居場所
5 A のソーシャル・スキル

問79の正答と解説を表示する

問79の正答

3

問79の解説

「お父さんがお布団に入ってくる」ということが、どのような状況の中でおこっているのか、性的虐待の可能性を含めて考慮することが最優先である。

問80

問80の問題文

傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話⼜は診療の補助を⾏うことを業とす る職種として、正しいものを 1 つ選べ。

問80の選択肢

1 看護師
2 介護福祉⼠
3 社会福祉⼠
4 理学療法⼠
5 精神保健福祉⼠

問80の正答と解説を表示する

問80の正答

1

問80の解説

1 「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう(保健師助産師看護師法第5条)
2 介護福祉士とは、「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。以下「喀痰吸引等」という。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと(以下「介護等」という。)を業とする者をいう」(社会福祉士及び介護福祉士法第2条2)。
3 社会福祉士とは、「社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう」(社会福祉士及び介護福祉士法第2条)。
4 理学療法士とは、「厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう(理学療法士及び作業療法士法第2条3)。
5 精神保健福祉士とは「精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十八項に規定する地域相談支援をいう。第四十一条第一項において同じ。)の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うこと(以下「相談援助」という。)を業とする者をいう(精神保健福祉士法第2条)。

問81

問81の問題文

A. Ellis が創始した⼼理療法として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問81の選択肢

1 ⾏動療法
2 精神分析療法
3 ゲシュタルト療法
4 論理情動⾏動療法
5 クライエント中⼼療法

問81の正答と解説を表示する

問81の正答

4

問81の解説

問82

問82の問題文

観察者の有無が作業に及ぼす影響をみる実験において、参加者を作業時に観察者が いる群といない群に分け、各群の参加者に単純課題条件と複雑課題条件の双⽅を課した。 この結果の分析⽅法として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問82の選択肢

1 2 要因混合分散分析
2 2 因被験者間分散分析
3 2 要因被験者内分散分析
4 複数個の 1 要因被験者間分散分析
5 複数個の対応のある平均値の t 検定

問82の正答と解説を表示する

問82の正答

1

問82の解説

1 Skinner, B.F.やWolpe, J.、Eysenck, H.J.らにより行動療法が体系化された。
2 精神分析療法はFreud, S.が創始した。
3 ゲシュタルト療法はPerls, F.S.が創始した。
4 論理常道行動療法は、Ellis, A.が創始した。は出来事(Activating Event)・信念(Belief)・結果(Consequence)からなるABCモデルを提唱し、非合理的信念の変容を重視した。
5 クライエント中心療法はRogers, C.R.が創始した。

問83

問83の問題文

他者と⽐べて、⾃分についてよりポジティブな判断を⾏うかどうかを検討する⽬的で 研究を⾏う。他者に対する性格の評定と⾃分に対する性格の評定を同時に得る場合に、両者 の評定を⾏う順序について適⽤すべき⽅法は何か、最も適切なものを 1 つ選べ。

問83の選択肢

1 ⼀定化
2 バランス化
3 マッチング
4 ランダム化
5 カウンターバランス

問83の正答と解説を表示する

問83の正答

5

問83の解説

この場合、カウンターバランスをとり、順序効果を相殺する

問84

問84の問題文

⾊覚の反対⾊過程と関連するものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問84の選択肢

1 中⼼窩の存在
2 ⾊の残効の⽣起
3 桿体細胞の存在
4 ⾊の恒常性の成⽴
5 ⼆⾊型⾊覚者の存在

問84の正答と解説を表示する

問84の正答

2

問84の解説

問85

問85の問題文

ある疾病において、「10%が死亡する」と表現した場合のほうが、「90%が⽣存する」 と表現した場合よりも、リスクが⾼く感じられる。このことを表す⽤語として、最も適切な ものを 1 つ選べ。

問85の選択肢

1 連⾔錯誤
2 確証バイアス
3 アンカリング効果
4 フレーミング効果
5 利⽤可能性ヒューリスティック

問85の正答と解説を表示する

問85の正答

4

問85の解説

1 連言錯誤とは、一般的な状況よりも、限定された状況や具体的な状況を指定されたほうが、発生確率を高く見積もってしまうことである。
2 確証バイアスとは、自分の仮説や信念を指示する情報ばかりを集め、反証する情報を軽視する傾向のことである。
3 アンカリング効果とは先に与えられた数字や情報が、後の数量推定に影響を及ぼすことをいう。
4 フレーミング効果とは、提示の仕方によって与える印象が変わることである。
5 利用可能性ヒューリスティックとは、思い出しやすいものを基準に選択してしまうことである。

問86

問86の問題文

認知⾔語学の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問86の選択肢

1 ⽣成⽂法理論をもとに構築されている。
2 ⾔語習得における経験の役割を重視する。
3 ⾔語に特化した認知能⼒を強調する⽴場をとる。
4 ⾔語的カテゴリーには、明確な境界線があるとみなす。
5 ゲシュタルト⼼理学でいう「図と地」の概念には、否定的である。

問86の正答と解説を表示する

問86の正答

2

問86の解説

1 Chomskyは、人間は生来、言語獲得装置が備わっているという生成文法理論を提唱した。言語獲得装置の中核部には、普遍文法が仮定されている。
2 認知言語学は、言語能力と認知能力を分けずに言語を研究する分野である。Lakoffらが基礎を築いた。
3 言語以外の知覚や認知などが言語に与える影響を考慮している。
4 連続性があると考えられている。
5 ゲシュタルト心理学や認知心理学の概念を取り入れている。

問87

問87の問題文

A. H. Maslow の欲求階層説において、最も下位の欲求として位置付けられるものはど れか、適切なものを 1 つ選べ。

問87の選択肢

1 安全の欲求
2 ⾃尊の欲求
3 ⽣理的欲求
4 ⾃⼰実現の欲求
5 所属と愛の欲求

問87の正答と解説を表示する

問87の正答

3

問87の解説

A.H. Maslowの欲求段階説は、下位から、生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求という5段階で構成される。生理的欲求、安全欲求、所属と愛の欲求、承認欲求は、欠乏動機で、自己実現欲求は、成長動機である。のちに、第6段階である自己超越について述べている。

問88

問88の問題文

「感情は覚醒状態に認知的評価が加わることで⽣じる」とする感情理論として、最も 適切なものを 1 つ選べ。

問88の選択肢

1 A.R. Damasio のソマティックマーカー説
2 P. Ekman、C. E. Izard の顔⾯フィードバック説
3 S. Schacter、J. Singer の 2 要因説
4 W.B. Cannon、P. Bard の中枢起源説
5 W. James、C. Lange の末梢起源説

問88の正答と解説を表示する

問88の正答

3

問88の解説

1 A.R. Damasioのソマティックマーカー説は、感情が意思決定に影響を与えるとしている。
2 顔面フィードバック説は、S.S. Tomkinsにより提唱された。表情は、感情に影響を与えるとするものである。
3 S. SchacterとJ. Singerの2要因説は、生来的覚醒と状況の認知的解釈の2つの要因から感情が生起するというものである。
4 W.B. CannonとP. Bardの中枢起源説は、外部刺激は視床を経由し大脳に達すると感情が生起し、視床から視床下部に達すると身体反応が生じるというものである。身体反応よりも感情が先に生起するとされている。
5 W. JamesとC. Langeの末梢起源説は、外部刺激が感覚受容器に達すると身体反応が生じ、それにより感情が生起するとしている。

問89

問89の問題文

情動について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問89の選択肢

1 情動処理の脳内部位は、主に下垂体後葉である。
2 情動⿇痺は、不可逆的な情動の⿇痺状態である。
3 特別な対象を持たない不快な感情と定義されている。
4 情動失禁とは、喜びの感情や興味が失われた状態である。
5 脳内で他者の⾏動を模倣するミラーニューロンが関与する。

問89の正答と解説を表示する

問89の正答

5

問89の解説

1 情動処理の脳内部位は、主に偏桃体が関わっている。
2 情動麻痺とは、強い情動的な体験によって、感情表現が不能になった状態である。
3 情動は、急速に、そして短期的に生起する。対して、気分は、長期に持続するものである。情動は思考や意思決定を導くとされている。
4 感情失禁とは、感情抑制ができず、わずかな刺激で泣いたり、笑ったり、怒ったりする状態である。

問90

問90の問題文

親密な対⼈関係の説明原理として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問90の選択肢

1 社会的絆理論
2 社会的学習理論
3 社会的交換理論
4 社会的⽐較理論
5 社会的アイデンティティ理論

問90の正答と解説を表示する

問90の正答

3

問90の解説

1 社会的絆理論は、なぜ多くの人が犯罪や非行を行わないのかという観点から非行や犯罪を考える理論である。Hirschi,T.は、社会的絆には、愛着、コミットメント(投資)、没入(巻き込み)、規範深淵という4つの要因があるとしている。
2 Albert Banduraは、他者の行動を観察・模倣することで学ぶといった社会的学習理論とを提唱している。
3 社会的交換理論とは、人間関係には、物質的なものや愛情、尊敬などの心理的なものの交換が影響していると考える理論である。
4 社会的比較理論とは、自己を他者と比較することによって評価しているという理論である。
5 Tajifel,HとTurner,J.C.は、自己高揚動機により、外集団よりも内集団を高く評価するという社会的アイデンティティ理論を提唱した。

問91

問91の問題文

L. Kohlberg の道徳性の発達理論において、「近所のおばあさんは、いつもお菓⼦を くれるから良い⼈である」という判断に該当する発達段階として、適切なものを 1 つ選べ。

問91の選択肢

1 法と秩序の志向性
2 社会的契約の志向性
3 罰と服従への志向性
4 対⼈的同調への志向性
5 報酬と取引への志向性

問91の正答と解説を表示する

問91の正答

5

問91の解説

KholbergはPiagetの考えを受け継ぎ、道徳性の発達理論を提唱した。第一段階は、罪と服従志向、第二段階は報酬と取引の志向で、前習慣水準に分類される。第三段階の対人的同調・よい子志向と第四段階の法と秩序志向は習慣的段階、第五段階の社会的契約的な法律志向と第六段階的の普遍的な原理的な志向は、後習慣的段階とよばれる。報酬と取引の志向では、自身の利益になることが行動基準となっている。

問92

問92の問題文

サクセスフルエイジングの促進要囚として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問92の選択肢

1 防衛機制の使⽤
2 ライフイベントの多さ
3 ソーシャル・コンボイの維持
4 タイプ A ⾏動パターンの獲得
5 ワーク・エンゲイジメントの増加

問92の正答と解説を表示する

問92の正答

3

問92の解説

1 防衛機制とは、受け入れがたい状況に陥った際に、不安や苦痛、自責感などを軽減しようとするとする無意識な方略で、Freud,S.が概念化し、Freud,A.によって体系化された。代表的なものに、抑圧、否認、投影、反動形成、知性化、合理化、昇華、同一化がある。
2 高齢者にとっては、ライフイベントの多さがストレスになる可能性があると考えられる。
3 ソーシャル・コンボイとは、老年期において、様々な人が高齢者を支えている関係を唱えた理論であり、援助を受ける高齢者を中心に、家族など親密な関係性のあるほど中心(高齢者)に近く配置し、中心に近い成員ほど重要度が増加するとしている。
4 タイプA行動パターンの特徴として、競争心や攻撃性、野心があるなどが挙げられる。虚血性心疾患を発症するリスクが高いといわれている。
5 ワーク・エンゲイジメントとは、仕事に関する積極的で充実した心理状態である。

問93

問93の問題文

世界保健機関〈WHO〉による国際⽣活機能分類〈ICF〉の説明として、正しいもの を 1 つ選べ。

問93の選択肢

1 分類対象から妊娠や加齢は除かれる。
2 医学モデルと⼼理学モデルに依拠する。
3 社会的不利が能⼒障害によって⽣じるとみなす。
4 ⽣活上のプラス⾯を加味して⽣活機能を分類する。
5 ⼼⾝機能・構造と活動が、それぞれ独⽴しているとみなす。

問93の正答と解説を表示する

問93の正答

4

問93の解説

ICFは、ICIDHから改訂され、ポジティブな側面を強調することが特徴である。また、障害は、個人の医学的要因に限定するのではなく、環境と社会の相互作用であるとしている。相互作用の重視、相対性の重視が特徴である。ICFは、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子の5つの要素によって構成されている。

問94

問94の問題文

G. Bateson の⼆重拘束理論に関連する概念として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問94の選択肢

1 三⾓関係
2 両親連合
3 世代間境界
4 ホメオスタシス
5 メタ・コミュニケーション

問94の正答と解説を表示する

問94の正答

5

問94の解説

Batesonが提唱した二重拘束理論(ダブルバインド)は、言語的メッセージと非言語的メッセージが矛盾しているなど、矛盾するメッセージが同時に発せられることにより、受け手に葛藤が生じる状態である。

問95

問95の問題文

⼿話をコミュニケーション⼿段とする被検査者に WAIS-Ⅳを実施する。回答場⾯に おけるやりとりに際して、結果に影響が出ないように注意を必要とする下位検査として、最 も適切なものを 1 つ選べ。

問95の選択肢

1 符号
2 類似
3 パズル
4 ⾏列推理
5 バランス

問95の正答と解説を表示する

問95の正答

2

問95の解説

類似は、言語理解指標(VCI)に含まれる下位検査である。手話の中で手がかりを与えたり翻訳により問題への解釈が変わったりすることのないように注意が必要である。

問96

問96の問題文

パーソナリティ障害に適⽤するため、認知⾏動療法を拡張し、そこにアタッチメン ト理論、ゲシュタルト療法、⼒動的アプローチなどを組み込んだ統合的な⼼理療法として、 最も適切なものを 1 つ選べ。

問96の選択肢

1 スキーマ療法
2 対⼈関係療法
3 動機づけ⾯接
4 問題解決療法
5 アクセプタンス&コミットメント・セラピー〈ACT〉

問96の正答と解説を表示する

問96の正答

1

問96の解説

Jeffrey E. Youngにより開発されたスキーマ療法は、パーソナリティ障害の治療で用いられる。知認知行動療法を拡張し、アタッチメント理論、ゲシュタルト療法、力動的アプローチなどの理論と技法が取り入れられている。

問97

問97の問題文

⼼理療法における効果検証に⽤いられる⽅法として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問97の選択肢

1 主成分分析
2 クラスター分析
3 ランダム化⽐較試験
4 コレスポンデンス分析
5 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

問97の正答と解説を表示する

問97の正答

3

問97の解説

ランダム化比較実験とは、治療効果を評価する際、対象者を治療群のグループにランダムに割り当て、客観的に治療効果を評価しようとする方法である。

問98

問98の問題文

病初期の Alzheimer 型認知症の所⾒として、最も適切なものを l つ選べ。

問98の選択肢

1 徘徊
2 錐体外路症状
3 着脱⾐の困難
4 遠隔記憶の障害
5 同じ話の繰り返し

問98の正答と解説を表示する

問98の正答

5

問98の解説

1 中期以降の症状である。
2 Lewy小体型認知症にみられる症状である。
3 中期以降の症状である。
4 遠隔記憶は、近時記憶と比較し保たれることが多い
5 Alzheimer型認知症では、近時記憶が障害されることによって、同じ話が繰り返されること症状が初期に見られる。

問99

問99の問題文

教育評価について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問99の選択肢

1 教育評価は、全国統⼀の基準に基づく。
2 カリキュラム評価は、ルーブリックに基づく。
3 カリキュラム評価の対象には、部活動が含まれる。
4 教育評価の対象には、潜在的カリキュラムが含まれる。
5 カリキュラム評価の対象には、学習者の学習・成⻑のプロセスが含まれる。

問99の正答と解説を表示する

問99の正答

4

問99の解説

問100

問100の問題文

情状鑑定に関する説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問100の選択肢

1 簡易鑑定として実施される。
2 ⾏動制御能⼒の有無や程度を評価する。
3 理⾮善悪の弁識能⼒の有無や程度を評価する。
4 量刑判断を⾏う上で考慮すべき事項について評価する。
5 裁判所から依頼されることはなく、被告⼈の弁護⼈からの依頼による私的鑑定として 実施される。

問100の正答と解説を表示する

問100の正答

4

問100の解説

情状鑑定とは、量刑判断を行ううえで、被告人の性格や知能、生育歴などの情報収集を行い犯罪の動機や原因を分析することである。

問101

問101の問題文

ストレスチェック制度について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問101の選択肢

1 産業医は、ストレスチェックの実施責任を負う。
2 派遣労働者のストレスチェックの実施義務は、派遣元事業者にある。 3 ストレスチェックの実施に当たり、事前に労働者全員から同意をと る。
4 ストレスチェックは、2 年ごとに 1 回実施することが定められている。
5 ストレスチェックの対象は、ストレスチュックを希望した労働者である。

問101の正答と解説を表示する

問101の正答

2

問101の解説

1 事業者がストレスチェック制度の実施責任を負う。
2 派遣労働者に対するストレスチェックの実施義務は、派遣元事業にある。
3 ストレスチェックは、労働安全衛生法により義務化されている。
4 ストレスチェックは、1年以内ごとに1回実施することが定められている。
5 ストレスチェックの対象者は、常時使用する労働者である。

問102

問102の問題文

動機づけ理論の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問102の選択肢

1 D.C. McClelland の⽬標達成理論では、課題への不安や恐怖を⽰す回避動機によって動 機づけが低下すると考える。
2 E. A Locke の⽬標設定理論では、難易度の低い⽬標を設定した⽅が動機づけが⾼まり、 業績の向上につながると考える。
3 E.L. Deci の認知的評価理論では、⾦銭などの外的報酬により、内発的動機づけが⾼ま ると考える。
4 F. Herzberg の 2 要因理論では、会社の衛⽣要因を改善しても動機づけは⾼まらないと 考える。
5 V.H. Vroom の期待理論では、管理監督者の期待が⾼いほど、労働者の動機づけが⾼ま ると考える。

問102の正答と解説を表示する

問102の正答

4

問102の解説

F. Herzbergの二要因理論では、仕事における満足度を、動機づけ要因と衛生要因にわけて考えている。

問103

問103の問題文

メニエール病の説明として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問103の選択肢

1 めまいは⼀過性で反復しない。
2 めまいは難聴や⽿嗚りを伴う。
3 めまいの持続時間は数秒である。
4 めまいを起こす疾患の中で最も頻度が⾼い。
5 過換気をきっかけにめまいが始まることが多い。

問103の正答と解説を表示する

問103の正答

2

問103の解説

1 回転性のめまいが反復する。
2 めまいに難聴や耳鳴りを伴うことが多い。
3 めまいの持続時間は、数分から数時間である。
4 めまいを起こす疾患の中で頻度が高いといわれているのは、 良性発作性頭位めまい症 (BPPV)であるといわれている。
5 めまいは誘因なく発症することがある。

問104

問104の問題文

統合失調症の特徴的な症状として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問104の選択肢

1 抑えがたい睡眠欲求が 1 ⽇に何度も起こる。
2 ⾃分の考えが周囲に伝わって知られていると感じる。
3 毎回同じ道順を辿るなど、習慣への頑ななこだわりがある。
4 暴⼒の被害に遭った場⾯が⾃分の意思に反して思い出される。
5 不合理であると理解しているにもかかわらず、打ち消すことができない思考が反復的 に浮かぶ。

問104の正答と解説を表示する

問104の正答

2

問104の解説

1 ナルコレプシーの症状である。
2 考想(思考)伝播という統合失調症の特徴的な症状である。
3 自閉症や前頭側頭型認知症でみられることがある。
4 PTSDにおけるフラッシュバックの症状である。
5 強迫性障害における強迫観念の症状である。

問105

問105の問題文

依存を⽣じやすい薬剤として、適切なものを 1 つ選べ。

問105の選択肢

1 抗認知症薬
2 抗てんかん薬
3 三環系抗うつ薬
4 ⾮定型抗精神病薬
5 ベンゾジアゼピン系抗不安薬

問105の正答と解説を表示する

問105の正答

5

問105の解説

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、依存が生じやすい。認知機能低下、健忘、既存性、眠気、持ち越し効果などの副作用がある。

問106

問106の問題文

抗認知症薬であるドネペジルが阻害するものとして、適切なものを 1 つ選べ。

問106の選択肢

1 GABA 受容体
2 NMDA 受容体
3 ドパミントランスポーター
4 アセチルコリンエステラーゼ
5 セロトニントランスポーター

問106の正答と解説を表示する

問106の正答

4

問106の解説

1 ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬は、GABAの作用を増強する。
2 メマンチンは、NMDA受容体を阻害する。
3 メチルフェニデートは、ドパミントランスポーターを阻害する。
4 ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼを阻害する。
5 SSRIは、セロトニントランスポーターを阻害する。

問107

問107の問題文

児童福祉法に定められているものとして、正しいものを 1 つ選べ。

問107の選択肢

1 保護観察
2 合理的配慮
3 ⼦どもの貧困対策
4 児童福祉施設における体罰の禁⽌
5 ⽇本にいる⼦どもとの⾯会交流を実現するための援助

問107の正答と解説を表示する

問107の正答

4

問107の解説

1 保護観察は、更生保護法に定められている。
2 合理的配慮は、障害者差別解消法に定められている。
3 子どもの貧困対策は、子どもの貧困対策の推進に関する法律に定められている
4 児童福祉施設における体罰の禁止は、児童福祉法に定められている。
5 日本にいる子どもとの面会交流を実現するための援助は、ハーグ条約に定められている。

問108

問108の問題文

少年法について、正しいものを 1 つ選べ。

問108の選択肢

1 少年とは、18 歳に満たない者をいう。
2 少年の刑事処分については、規定されていない。
3 14 歳に満たない者は、審判の対象とはならない。
4 審判に付すべき少年とは、刑罰法令に触れる⾏為を⾏った者に限定されている。
5 少年事件は、犯罪の嫌疑があるものと思料されるときは、全て家庭裁判所に送致される。

問108の正答と解説を表示する

問108の正答

5

問108の解説

1 少年法における少年とは、二十歳に満たない者である。
2 20条に規定されている。
3 十四歳に満たない者も、審判の対象になる。
4 罪を犯すおそれがある虞犯少年も審判の対象である。
5 全件送致主義について、第41条、第42条に規定されている。

問109

問109の問題文

医療関係者が患者から取得した個⼈情報の開⽰について、本⼈の同意を得る⼿続が 例外なく不要なものを 1 つ選べ。

問109の選択肢

1 財産の保護のために必要がある場合
2 公衆衛⽣の向上のために特に必要がある場合
3 医療法に基づく⽴⼊検査など、法令に基づく場合
4 本⼈の⽣命、⾝体の保護のために必要がある場合
5 児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合

問109の正答と解説を表示する

問109の正答

3

問109の解説

法による定めがある場合、秘密保持義務の例外となる。

問110

問110の問題文

チームアプローチをとる際の公認⼼理師の姿勢として、不適切なものを 1 つ選べ。

問110の選択肢

1 ⾃分の役割と限界を⾃覚する。
2 チーム形成の⽬的や、⽀援⽅針を共有する。
3 チーム内のスタッフ間の葛藤や混乱を整理する。
4 チームアプローチのためには、社会⼈としての常識を必要とする。
5 チームアプローチであっても、職務に関する問題は、専⾨家として責任を持って⼀⼈で 解決を図る。

問110の正答と解説を表示する

問110の正答

5

問110の解説

多職種連携によって、要心理支援者の理解を深め多様なニーズに対応することが求められる。

問111

問111の問題文

認知的不協和が関わる現象として、不適切なものを 1 つ選べ。

問111の選択肢

1 顕⽰的消費
2 禁煙の困難さ
3 説得や依頼における段階的要請
4 ⼊会におけるイニシエーション
5 既に購⼊した製品のパンフレットや広告の閲読

問111の正答と解説を表示する

問111の正答

1

問111の解説

認知的不協和とは、自身の中に矛盾する認知を抱えた状態では不快感が生じるため、それを解消するめに、認知や態度、行動を変えることをいう。

問112

問112の問題文

味覚の基本味に含まれないものを 1 つ選べ。

問112の選択肢

1 塩味
2 ⾟味
3 酸味
4 苦味
5 うま味

問112の正答と解説を表示する

問112の正答

2

問112の解説

味覚の基本味は、塩味、甘味、苦味、酸味、うま味の5つである。

問113

問113の問題文

⼼理的アセスメントにおけるインフォームド・コンセントの説明として、不適切な ものを 1 つ選べ。

問113の選択肢

1 被検査者が幼い場合には、保護者に情報提供をする。
2 検査をいつでも途中でやめることができることを伝える。
3 検査がどのように⼼理的⽀援に活⽤されるかについて説明する。
4 ⼼理的⽀援に否定的な影響が想定される場合、検査の性質の⼀部を伏せて実施する。 5 被検査者に説明する際には、被検査者が理解できるような⾔葉にかみ砕いて情報を伝 える。

問113の正答と解説を表示する

問113の正答

4

問113の解説

インフォームド・コンセントでは、心理的支援に否定的な影響が想定されるなどのデメリットが生じる可能性がある場合についても、その旨をクライエントに伝え、同意を得た上で検査を実施する必要がある。

問114

問114の問題文

アウトリーチ(多職種による訪問⽀援)の説明として、不適切なものを 1 つ選べ。

問114の選択肢

1 多職種・多機関でのチーム対応が求められる。
2 虐待事例における危機介⼊で⽤いられる⼿法の 1 つである。
3 ⽀援者が⾃ら⽀援対象者のもとに出向く形態の⽀援である。
4 対象者のストレングスの強化より病理への介⼊が重視される。
5 対象者の多くは、⾃ら⽀援を求めない⼜は求められない⼈である。

問114の正答と解説を表示する

問114の正答

4

問114の解説

クライエントが持っている強みや可能性を、ストレングスという。クライエントが抱える問題ばかりに焦点をあてるのではなく、クライエントのストレングスを大切にした支援が求められる。なお、病理への介入は、医療機関で行われるものである。

問115

問115の問題文

⼼⾝症に含まれないものを 1 つ選べ。

問115の選択肢

1 緊張型頭痛
2 過換気症候群
3 過敏性腸症候群
4 起⽴性調節障害
5 ⼼気障害(病気不安症)

問115の正答と解説を表示する

問115の正答

5

問115の解説

心身症には、1.2.3.4の選択肢のほか、気管支喘息、高血圧、不整脈、失感情症、アトピー性皮膚炎、夜尿症、多汗症などが含まれる。

問116

問116の問題文

災害⽀援者を対象とするストレス対策として、不適切なものを 1 つ選べ。

問116の選択肢

1 ⽣活ペースを維持する。
2 業務のローテーションを組む。
3 住⺠の⼼理的反応に関する研修を⾏う。
4 ストレスのチェックリストによる⼼⾝不調の確認を⾏う。
5 話したくない体験や気持ちについても積極的に話すように促す。

問116の正答と解説を表示する

問116の正答

5

問116の解説

災害などつらい経験をした後に、その経験や気持ちを語るデブリーフィングは、逆効果であるとされている。

問117

問117の問題文

複雑性悲嘆に対する J.W. Worden の悲嘆セラピーの原則や⼿続として、誤ってい るものを 1 つ選べ。

問117の選択肢

2 悲しむのをやめたらどうなるかを⼀緒に考える。
3 喪失を決定的な事実と認識することがないように援助する。
4 故⼈に対するアンビバレントな感情を探索することを援助する。
5 ⼤切な⼈がいない状況での新たな⽣活を設計することを援助する。

問117の正答と解説を表示する

問117の正答

3

問117の解説

J.W. Wordenは、喪失への適応には、①喪失の事実の受容、②喪失の苦痛を後超える、③喪失対象のいない環境への適応、④喪失対象を情緒的に再配置する、という4つの課題が必要であることしている。

問118

問118の問題文

緊急⼀時保護が必要であると児童相談所が判断する基準に該当しないものを 1 つ 選べ。

問118の選択肢

1 保護者に被虐待歴がある。
2 ⼦どもへの性的虐待の疑いが強い。
3 ⼦どもに重度の栄養失調が認められる。
4 保護者が⼦どもを殺してしまいそうだと訴えている。
5 保護者が暴⼒を振るうため帰りたくないと⼦どもが訴えている。

問118の正答と解説を表示する

問118の正答

1

問118の解説

1 保護者に被虐待歴があっても、現時点で虐待を行っているわけではないため、緊急一時保護が必要であると判断できる事例ではない。
2~4 子どもにとって生命の危険性があると考えられる。

問119

問119の問題文

学習障害について、誤っているものを 1 つ選べ。

問119の選択肢

1 特別⽀援教育の対象とされている。
2 特定の領域の学業成績が低くなりやすい。
3 計画の⽴案が困難であることにより特徴付けられる。
4 必要に応じて、頭部画像検査などの中枢神経系の検査が⽤いられる。
5 聞く、話す、読む、書く、計算する⼜は推論する能⼒のうち特定のものの習得と使⽤に 著しい困難を⽰す。

問119の正答と解説を表示する

問119の正答

3

問119の解説

学習障害とは、「「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態」(文部科学省)である。

問120

問120の問題文

⼼神喪失等の状態で重⼤な他害⾏為を⾏った者の医療及び観察等に関する法律〈医 療観察法〉について、誤っているものを 1 つ選べ。

問120の選択肢

1 通院期間は、最⻑ 5 年以内である。
2 社会復帰調整官は、保護観察所に置かれる。
3 精神保健観察は、社会復帰調整官が担当する。
4 ⼊院施設からの退院は、⼊院施設の管理者が決定する。
5 ⼼神喪失等の状態で放⽕を⾏った者は、医療及び観察等の対象となる。

問120の正答と解説を表示する

問120の正答

4

問120の解説

1 「第四十二条第一項第二号の決定による入院によらない医療を行う期間は、当該決定があった日から起算して三年間とする。ただし、裁判所は、通じて二年を超えない範囲で、当該期間を延長することができる」(同法第44条)。
2 「保護観察所に、社会復帰調整官を置く」(第20条)。
3 精神保健観察は社会復帰調整官が実施する(第104条)。
4 退院の許可は以下の通り、裁判所が決定する。
「裁判所は、第四十九条第一項若しくは第二項又は前条の申立てがあった場合は、指定入院医療機関の管理者の意見(次条の規定により鑑定を命じた場合は、指定入院医療機関の管理者の意見及び当該鑑定)を基礎とし、かつ、対象者の生活環境(次条の規定により鑑定を命じた場合は、対象者の生活環境及び同条後段において準用する第三十七条第三項に規定する意見)を考慮し、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める決定をしなければならない。
一 対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院を継続させてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 退院の許可の申立て若しくはこの法律による医療の終了の申立てを棄却し、又は入院を継続すべきことを確認する旨の決定
二 前号の場合を除き、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合 退院を許可するとともに入院によらない医療を受けさせる旨の決定」(第51条)
5 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行ったものは、医療及び観察等の対象となる。殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害が重大な他害行為に含まれる。

問121

問121の問題文

うつ病で減退、減少しないものを 1 つ選べ。

問121の選択肢

1 気⼒
2 喜び
3 罪責感
4 思考⼒
5 集中⼒

問121の正答と解説を表示する

問121の正答

3

問121の解説

1 気力は減退、減少する。
2 喜びは減退、減少する。
3 罪責感は増加する。
4 思考力は減退、減少する。
5 集中力は減退、減少する。

問122

問122の問題文

公認⼼理師が、⼩学校⾼学年を対象に 30 分程度のいじめ予防プログラムの実践を 依頼された。実施するプログラムを作成・評価する際の留意点として、不適切なものを 1 つ 選べ。

問122の選択肢

1 ⼩学校の教師に対して説明責任を果たす。
2 当該⼩学校におけるいじめ事象を聞き取る。
3 実践したプログラムの終了後に形成的評価を⾏う。
4 アクションリサーチの観点からプログラムを実施し、評価する。 5 参加児童に対して質問紙調査を実施し、アウトカムを査定する。

問122の正答と解説を表示する

問122の正答

3

問122の解説

プログラム終了後に行うのは総括的評価である。形成的評価は、学習過程の中で行われる。

問123

問123の問題文

倫理的ジレンマがより強まるものとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問123の選択肢

1 輸⾎が必要な患者が、宗教上の理由で輸⾎を拒否している場合
2 疼痛緩和が必要な患者に、医療チームが疼痛コントロールを⾏う場合
3 医療チームが、新規の治療技術について臨床倫理委員会に申請している場合
4 多職種でコミュニケーションの必要性を認識し、意思疎通を図っている場合

問123の正答と解説を表示する

問123の正答

1

問123の解説

倫理的ジレンマとは、クライエントの秘密保持やクライエントの意思尊重をしたいと思う一方で、クライエントの利益のために、それができないといった矛盾した状態である。

問124

問124の問題文

ヒトの知覚の特徴として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問124の選択肢

1 ⽋損した情報を補わずに知覚する。
2 感覚刺激が継続して呈⽰される場合、感度は⼀定である。
3 ⾳を聞いて⾊を感じ取るなど、1 つの物理的刺激によって複数の感覚知覚が⽣じること がある。
4 対象の特性を保持して知覚できるのは、対象からの感覚器官に与えられる刺激作⽤が 変化しない場合である。

問124の正答と解説を表示する

問124の正答

3

問124の解説

音を聞いて色を感じ取るなど、一つの物理的刺激によって複数の感覚知覚が生じることを、共感覚という。

問125

問125の問題文

⼈を対象とした⼼理学研究の倫理に関する説明として、最も適切なものを 1 つ選 べ。

問125の選択肢

1 効率的に研究を進めるために、協⼒が得られやすい知⼈を研究対象にする。
2 ⾃発性が保証された状況下で、対象者からインフォームド・コンセントを取得すること が求められる。
3 研究計画の⽴案や研究費の獲得、研究の実⾏など、個⼈で複数の役割を担う多重関係は 回避すべきである。
4 研究過程で収集した対象者の情報は、データのねつ造ではないことの証明として、研究 終了後にすべて公表する。

問125の正答と解説を表示する

問125の正答

2

問125の解説

1 協力が得られやすい知人を研究対象にすると、結果が偏る可能性がある。
2 研究を実施するにあたり、参加者に研究内容について説明を行い、自由意思で参加を決定できるよう、インフォームド・コンセントを行う必要がある。
3 個人が複数の役割を担っても差し支えない。
4 個人情報を守る必要がある。

問126

問126の問題文

アルコール依存症について、最も適切なものを 1 つ選べ。

問126の選択肢

1 不安症とアルコール依存症の合併は少ない。
2 アルコール依存症の⽣涯⾃殺率は、約 1%である。
3 アルコール早期離脱症候群では、意識障害は起こらない。
4 脳機能障害の予防に、ビタミン Bl の投与が有効である。

問126の正答と解説を表示する

問126の正答

4

問126の解説

1 うつ病や不安障害は、アルコール依存症のリスクがある。
2 7~15%であるといわれている。
3 アルコール早期離脱症候群では、意識障害が起こることがある。
4 脳機能障害の予防には、ビタミンB1の投与が有効である。

問127

問127の問題文

学⽣相談で語られることの多い、学⽣⽣活サイクル上の課題の説明として、最も適 切なものを 1 つ選べ。

問127の選択肢

1 ⼊学期は、対⼈関係をめぐる問題が相談として語られ、学⽣⽣活の展開が課題となる。 2 中間期は、無⼒感やスランプなどが相談として語られ、⾃分らしさの探求が課題となる。
3 卒業期は、研究⽣活への違和感や能⼒への疑問が相談として語られ、専⾨職としての⾃ ⼰形成が課題となる。
4 ⼤学院学⽣期は、修了を前に未解決な問題に取り組むことが相談として語られ、⻘年期 後期の節⽬が課題となる。

問127の正答と解説を表示する

問127の正答

2

問127の解説

1 中間期の課題である。
2 学生生活サイクルは、入学期、中間期、卒業期、大学院期の4つの段階から成る。中間期には、独自の学生生活を展開していくため、「無力感やスランプなどが相談として語られ」ることがある。
3 大学院期の課題である。
4 卒業期の課題である。

問128

問128の問題文

A. Bandura の理論において、⾃⼰効⼒感〈self-efficacy〉を⾼める⽅法として、最 も適切なものを 1 つ選べ。

問128の選択肢

1 モデリング
2 タイムアウト
3 ホームワーク
4 トークン・エコノミー

問128の正答と解説を表示する

問128の正答

1

問128の解説

自己効力感は、A. Banduraが提唱した概念である。自己効力感を構成する要素には、制御体験、モデリング(代理経験)、言語的説得、生理的情緒的効用がある。また、自己効力感のタイプには、自己統制的自己効力感、社会的自己効力感、学習的自己効力感がある。

問129

問129の問題文

⼼理検査結果を報告する際の対応として、不適切なものを 1 つ選べ。

問129の選択肢

1 クライエントが得意とする分野も記載する。
2 報告する相⼿によって、伝え⽅を⼯夫する。
3 クライエントが検査を受ける態度から推察できることを記載する。
4 検査の記録⽤紙をコピーしたものを、そのままクライエントに渡す。

問129の正答と解説を表示する

問129の正答

4

問129の解説

被検査者の実態と異なる結果の解釈が独自になされたり、検査結果が流出したりする恐れがあるため、検査の記録用紙をコピーしたものをそのままクライエントに渡すことはしない。

問130

問130の問題文

仕事と⽣活の調和推進のための⾏動指針で設けられた、「多様な働き⽅・⽣き⽅が 選択できる社会」に必要とされる条件や取組として、不適切なものを 1 つ選べ。

問130の選択肢

1 パートタイム労働者を正規雇⽤へ移⾏する制度づくりをすること
2 就業形態にかかわらず、公正な処遇や能⼒開発の機会が確保されること
3 育児、介護、地域活動、職業能⼒の形成を⽀える社会基盤が整備されていること
4 ⼦育て中の親が⼈⽣の各段階に応じて柔軟に働ける制度があり、実際に利⽤できるこ と

問130の正答と解説を表示する

問130の正答

1

問130の解説

正規雇用でもパートタイムでも働きやすい環境に整えることが大切である。

問131

問131の問題文

学校教育に関する法規等の説明として、誤っているものを 1 つ選べ。

問131の選択肢

1 学校教育法は、認定こども園での教育⽬標や教育課程等について⽰している。
2 学習指導要領は、各学校段階における教育内容の詳細についての標準を⽰している。
3 教育基本法は、憲法の精神を体現する国⺠を育てていくための基本理念等について⽰ している。
4 学校保健安全法は、学校に在籍する児童⽣徒・教職員の健康及び学校の保健に関して⽰ している。

問131の正答と解説を表示する

問131の正答

1

問131の解説

幼保連携型認定こども園は、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(認定こども園法)で定められている。

問132

問132の問題文

ケース・フォーミュレーションについて、適切なものを 2 つ選べ。

問132の選択肢

1 クライエントの意⾒は反映されない。
2 個々のクライエントによって異なる。
5 精神⼒動的⼼理療法では⽤いられない。
4 クライエントの問題に関する仮説である。
5 ⽀援のプロセスの中で修正せずに⽤いられる。

問132の正答と解説を表示する

問132の正答

2.4

問132の解説

1 クライエントの意見を尊重しながら、共同作業を通じてケース・フォーミュレーションを行う。
2 個々のクライエントに応じた仮説の探索や介入、評価が必要である。
3 ケース・フォーミュレーションは、それぞれの理論に基づいて仮説を立てる。
4 クライエントの抱える問題について情報を集め、その情報をもとに、問題の原因のメカニズムについて仮説を探索する。
5 介入が適切であったか評価をし、適切でなければ再度ケース・フォーミュレーションを行う。

問133

問133の問題文

感染症の標準予防策について、適切なものを 2 つ選べ。

問133の選択肢

1 全ての患者との接触において適⽤される。
2 個⼈防護具を脱ぐときは、⼿袋を最後に外す。
3 ⼿袋を外した後の⼿洗いや⼿指の消毒は、省略してもよい。
4 電⼦カルテ端末を⽤いで情報を⼊⼒するときは、⼿袋を外す。
5 個⼈防護具は、ナースステーション内の清潔な場所で着脱する。

問133の正答と解説を表示する

問133の正答

1.4

問133の解説

1 感染症の標準予防策は、全ての患者との接触において適用される。
2 個人防護具を脱ぐときは、手袋を最初に外す。
3 手指衛生は、基本的な予防対策である。
4 電子カルテ端末等の共有物に触れるときには、手袋を外す。
5 個人防護服は入室前に着用し、病室から退室する前に脱ぐ。

問134

問134の問題文

社会的養護における永続性(パーマネンシー)について、正しいものを 2 つ選べ。

問134の選択肢

1 ⾥親委託によって最も有効に保障される。
2 選択最適化補償理論に含まれる概念である。
3 対象がたとえ⾒えなくなっても、存在し続けるという認識である。
4 国際連合の「児童の代替的養護に関する指針」における⽬標である。
5 ⼦どもの出⾃を知る権利を保障できる記録の永年保存が求められる。

問134の正答と解説を表示する

問134の正答

4.5

問134の解説

社会的養護における永続性(パーマネンシー)とは、特定の養育者との永続的で安定した関係性を保障することである。

問135

問135の問題文

パニック発作の症状として、適切なものを 2 つ選べ。

問135の選択肢

1 幻覚
2 半盲
3 現実感消失
4 前向性健忘
5 ⼼拍数の増加

問135の正答と解説を表示する

問135の正答

3.5

問135の解説

パニック症での身体症状では、動悸、発汗、震え、息苦しさ、めまい、窒息感、胸部不快感、嘔吐など、認知症状では、異常感覚、現実感消失、抑制力を伴う恐怖などがある。

問136

問136の問題文

20 歳の⼥性 A。A は、無謀な運転による交通事故や⾃傷⾏為及び⾃殺未遂でたび たび救急外来に搬送されている。また、A は交際相⼿の男性と連絡が取れないと携帯電話を 壁に叩きつけたり、不特定多数の異性と性的関係を持ったりすることもある。現在、救急外 来の精神科医の勧めで、公認⼼理師 B による⼼理⾯接を受けている。初回⾯接時には、「B さんに会えてよかった」と褒めていたが、最近では、「最低な⼼理師」と罵ることもある。 A は、礼節を保ち、にこやかに来院する⽇もあれば、乱れた着⾐で泣きながら来院すること もある。⼼理的に不安定なときは、「みんな死んじゃえ」と叫ぶことがあるが、後⽇になる とそのときの記憶がないこともある。
DSM-5 の診断基準に該当する A の病態として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問136の選択肢

1 双極 I 型障害
2 素⾏症/素⾏障害
3 境界性パーソナリティ障害
4 反抗挑発症/反抗挑戦性障害
5 解離性同⼀症/解離性同⼀性障害

問136の正答と解説を表示する

問136の正答

3

問136の解説

DSM-5では、パーソナリティ障害を3群にまとめている。A群は、猜疑性/妄想性パーソナリティ障害、スキゾイドパーソナリティ障害、統合失調型パーソナリティ障害、B群は、反社会性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害、C群は、回避性パーソナリティ障害、依存性パーソナリティ障害、強迫性パーソナリティ障害から成る。
境界性パーソナリティ障害では、対人関係、自己像および感情の不安定と著しい衝動性を示す。

問137

問137の問題文

30 歳の男性 A、会社員。喫煙をやめたいが、なかなかやめられないため、会社の 健康管理室を訪れ、公認⼼理師 B に相談した。B は、A が⾃らの⾏動を観察した結果を踏 まえ、A の喫煙⾏動を標的⾏動とし、標的⾏動の先⾏事象と結果事象について検討した。 先⾏事象が、「喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている」であるとき、結果事象 として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問137の選択肢

1 喫煙所に⼊る。
2 タバコを吸う。
3 同僚と話をする。
4 ⾃動販売機で飲み物を買う。
5 コンビニエンス・ストアでタバコを買う。

問137の正答と解説を表示する

問137の正答

3

問137の解説

「喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている」と(先行事象)、喫煙する(標的行動)。その結果、「同僚と話をする」ことが想定される。そのことが強化子となり、喫煙が維持されていると考えられる。

問138

問138の問題文

28 歳の男性 A、会社員。A は、最近、会社に出勤できなくなり、産業医から紹介さ れて公認⼼理師 B のもとを訪れた。A は、⼈前に出ることはもともと苦⼿であったが、1 年 前に営業部署に異動してからは特に苦⼿意識が強くなり、部署内の会議への参加や、上司か ら評価されるような場⾯を避けがちになった。B が実施した⼼理検査の結果、BDI-Ⅱの得 点は 32 点、MAS の A 得点は 32 点、L 得点は 5 点、LSAS-J の総得点は 97 点であった。A のアセスメントとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問138の選択肢

1 顕在性不安が強い。
2 抑うつ状態は軽度である。
3 軽度の社交不安が疑われる。
4 重度の強迫症状がみられる。
5 好ましく⾒せようとする傾向が強い。

問138の正答と解説を表示する

問138の正答

1

問138の解説

BDI-Ⅱは、問76にも示した通り、抑うつ評価尺度で、14~19点で軽症、20~28点で中等症、29~63点で重症の可能性とされる。MASは、顕在性不安をアセスメントし、一般男性(20~60歳)のA得点が、19~22点でかなり不安が高く、23点以上で高度の不安を有している可能性が高い。L得点(Lie score)が11点以上ある場合は妥当性に疑いがある。LSAS-Jは、社交不安障害をアセスメントし、30点以上で社交不安が疑われ、50~70点で中等度、90点以上で重度の可能性があると判断される。

問139

問139の問題文

27 歳の男性 A、中学校教師。A は、スクールカウンセラーB に、担任をしているク ラスの⽣徒 C のことで相談を持ちかけた。A によると、C は、授業中に A に対してあから さまに反抗的な態度をとるという。それにより、授業を中断しなければならない場⾯が何度 もあった。他の⽣徒の不満も⾼まってきており、学級運営に⽀障を来し始めている。A によ ると、C の⾏動の原因については全く⾒当がつかず、疲弊感ばかりが増している状態である とのこと。 B の A へのコンサルテーションにおける対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問139の選択肢

1 具体的な⾏動は提案しない。
2 具体的かつ詳細な質問を⾏う。
3 ⼼理学⽤語を⽤いて説明する。
4 なるべく早く解決策を提案する。
5 A の気持ちを⻑期間繰り返し傾聴する。

問139の正答と解説を表示する

問139の正答

2

問139の解説

1 コンサルテーションでは、助言や支援を求められている。
2 的確なアドバイスをするためにも、具体的かつ詳細な質問をする必要がある。
3 わかりやすい説明が求められる。
4 まずは状況や問題を把握することが求められる。
5 傾聴することは大切だが、同じことを長期間繰り返し傾聴するだけでは、疲労やストレスにつながることも考えられる。

問140

問140の問題文

65 歳の⼥性 A、夫 B と⼆⼈暮らし。A は、半年前から動作が緩慢となり呂律が回 らないなどの様⼦がみられるようになった。症状は徐々に悪化し、睡眠中に⼤声を上げ、暴 れるなどの⾏動がみられる。「家の中に知らない⼦どもがいる」と訴えることもある。B に 付き添われ、A は総合病院を受診し、認知症の診断を受けた。
A に今後起こり得る症状として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問140の選択肢

1 反響⾔語
2 歩⾏障害
3 けいれん発作
4 ⾷⾏動の異常
5 反社会的な⾏動

問140の正答と解説を表示する

問140の正答

2

問140の解説

「動作が緩慢となりろれつが回らない」様子はパーキンソン症状、「睡眠中に大声を上げ、暴れる」行動はレム睡眠行動障害、「家の中に知らない子どもがいる」との訴えは幻視であると考えられる。これらは、Lewy小体型認知症でみられる症状である。
1 反響言語は行動異常型前頭側頭型認知症や統合失調症で認められる。
2 Lewy小体型認知症では、パーキンソン症状の一つである歩行障害が認められる。
3 けいれん発作は、Wernicke脳症やてんかんで認められる。
4 食行動の異常は摂食障害で認められる。
5 反社会的な行動は、前頭側頭型認知症や素行症で認められる。

問141

問141の問題文

7 歳の男児 A、⼩学 1 年⽣。⼊院治療中。A は、気管⽀喘息と診断され通院治療を 受けていた。喘息発作で救急外来を受診したとき、強引に押さえられて吸⼊処置を受けた。 それを機に、吸⼊器を⾒ると⼤泣きするようになり、⾃宅での治療が⼀切できなくなった。 そのため、発作により、救急外来を頻回に受診するようになり、最終的に⼊院となった。医 師や看護師が吸⼊させようとしても⼤泣きして⼿がつけられず、治療スタッフが近づくだ けで泣くようになったため、主治医から公認⼼理師に⼼理的⽀援の依頼があった。 A に対して⾏う⾏動療法的な⽀援の技法として、適切なものを 1 つ選べ。

問141の選択肢

1 嫌悪療法
2 ⾃律訓練法
3 エクスポージャー
4 バイオフィードバック
5 アサーション・トレーニング

問141の正答と解説を表示する

問141の正答

3

問141の解説

エクスポージャー(暴露法)は、 恐怖や不安を引き起こす場面に直面させることにより、不安や恐怖との結びが弱まることを体験させる行動療法である。

問142

問142の問題文

54 歳の男性 A、会社員。仕事への興味の減退を主訴に⼼理相談室に来室した。A は、⼤学卒業後、技術系の仕事に就き、40 歳代で管理職になった。4 か⽉前にゴルフ友達が 亡くなったのを機に不眠傾向となり、かかりつけ医から睡眠薬を処⽅された。しかし、症状 は改善せず、体調不良を⾃覚して検査を受けたが異常は指摘されなかった。清潔な⾝なりで 礼容は保たれているが、張りのない声で、「楽しい感情が湧かない」、「ゴルフが⼤好きだっ たのに⾏く気がしない」、「ふさぎ込んでいるので家庭の空気を悪くして申し訳ない」と述べ た。飲酒習慣は晩酌程度という。
最も優先して確認するべき A の症状を 1 つ選べ。

問142の選択肢

1 易疲労感
2 希死念慮
3 ⾃信喪失
4 早朝覚醒
5 体重減少

問142の正答と解説を表示する

問142の正答

2

問142の解説

「仕事への興味の減退」、「不眠」、「楽しい感情が沸かない」、「ゴルフが大好きだったのに行く気がしない」、「家庭の空気を悪くして申し訳ない」といった様子、言動からうつ病が疑われる。うつ病は自殺のリスクがあり、自殺予防の観点から、希死念慮を最も優先して確認すべきである。

問143

問143の問題文

25 歳の男性 A、消防⼠。妻と⼆⼈暮らし。台⾵による⼤⾬で川が⼤規模に氾濫し たため、A は救出活動に従事した。当初は被災住⺠を救出できたが、3 ⽇⽬以降は遺体の収 容作業が多くなった。5 ⽇⽬を過ぎた頃から、同僚に、「⾃分は何の役にも⽴たない。何の ために仕事をしているのか分からない。家ではいらいらして、妻に対してちょっとしたこと で怒り、夜は何度も⽬を覚ましている」と話した。⼼配した同僚の勧めで、A は医療⽀援チ ームの⼀員である公認⼼理師 B に相談した。 この段階での B の A への対応として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問143の選択肢

1 もう少し働き続ければ慣れると伝える。
2 職業の適性に関する評価が必要であることを伝える。
3 家庭では仕事のつらさについて話をしないよう勧める。
4 他の消防⼠も参加できるデブリーフィングの場を設ける。
5 急なストレス状況でしばしばみられる症状であることを伝える。

問143の正答と解説を表示する

問143の正答

5

問143の解説

1 働き続けるよりも休息が必要である。
2 支援対象者に寄り添ったかかわり必要である。
3 Aが話したいと思える人に話すことが、ストレスの緩和につながることがある。
4 近年、災害直後のデブリーフィングは効果がないといわれている。
5 災害や事故、テロなどへの支援者には、参事ストレスとよばれるストレス反応が起こることがある。正常な反応であることを伝え、参事ストレスへの理解を促すことが求められる。

問144

問144の問題文

12 歳の⼥児 A、⼩学 6 年⽣。A に既往歴はなく、対⼈関係、学業成績、⽣活態度 などに問題はみられなかった。しかし、ある⽇授業中に救急⾞のサイレンが聞こえてきたと きに、突然頭を抱え震えだした。その後、A はかかりつけの病院を受診したが、⾝体的異常 はみられなかった。A はそれ以降、登校しぶりが⽬⽴っている。保護者によると、1 年前に、
家族旅⾏先で交通死亡事故を⽬撃したとのことであった。A や A の家族は事故に巻き込ま れてはいない。スクールカウンセラーである B は、教師の校内研修会で A への対応に役⽴ つような話をすることになった。
B が提⽰する内容として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問144の選択肢

1 発達障害への対応
2 曖昧な喪失へのケア
3 ⼼理的リアクタンスの理解
4 トラウマ・インフォームド・ケア
5 反応性アタッチメント障害の理解

問144の正答と解説を表示する

問144の正答

4

問144の解説

1 発達障害が疑われる記載はない。
2 曖昧な喪失とは、喪失が不明瞭な状態であり、実際には存在していないが、心理的には存在していると認知することで経験している喪失と、実際に存在しているが、心理的には存在していないと認知することで経験している喪失がある。
3 自身の行動の自由を妨げられると感じると、反発したり自由を取り戻そうとしたりする心理状態である。
4 トラウマ・インフォームド・ケアとは、支援対象者にトラウマがないかという観点をもって対応することで、二次障害を防ぐことを主な目的とする。
5 反応性アタッチメント障害とは、不適切な養育を経験した子どもに見られる障害であり、情動が抑制され、大人に対してアタッチメントを求めようとしない様子を示す。

問145

問145の問題文

14 歳の男⼦ A、中学 2 年⽣。A は、⽣後間もない頃から乳児院で育ち、3 歳で児童 養護施設に⼊所した。保護者は所在不明で A との交流はない。A はおとなしい性格で、こ れまで施設や学校でも特に問題はみられなかったが、中学 2 年⽣の冬休み明けからふさぎ 込むことが増えた。ある⽇、児童指導員 B に対して、「どうせ仕事なんだろう」、「なぜこん なところにいなくてはいけないんだ」と⾔いながら暴れた。また、「⽣きている意味がない」 とメモを書き残して外出し、A が育った乳児院の近くで発⾒された。A の態度の変わりよう に困った B は、施設内の公認⼼理師 C に A への対応を相談した。
C の B への助⾔・提案として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問145の選択肢

1 A の⾃⽴⽀援計画の策定を始めるよう助⾔する。
2 児童相談所に⾥親委託の検討を依頼するよう提案する。
3 A が⾃分を理解してもらえないと感じるような、B の対応を改善するよう助⾔する。 4 A には注意⽋如多動症/注意⽋如多動性障害〈AD/HD〉の疑いがあるため、医療機関 の受診を提案する。
5 信頼できる⼤⼈との⽇常⽣活の中で、A が⾃分の⼈⽣を⾃然に振り返ることができる ような機会が⼤切になると助⾔する。

問145の正答と解説を表示する

問145の正答

5

問145の解説

信頼できる大人との安心できる環境を日常席に築き、その中で自分の人生を自然に振り返ることで、心理的に安定することができるように支援していくことが大切である。

問146

問146の問題文

30 歳の⼥性 A、⼩学 4 年⽣の担任教師。A は、2 学期開始から 10 ⽇後、同じ⼩学 校のスクールカウンセラーである公認⼼理師 B に次のように相談した。A が担任をしてい る学級では、1 学期の終わり頃から児童 C が悪⼝を⾔われており、休むこともあったとい
う。2 学期になっても、C への悪⼝が続いており、登校しづらくなっている。 いじめ対応の基本を踏まえて、B が最初に確認することとして、最も適切なものを 1 つ選 べ。

問146の選択肢

1 学級経営の⽅針
2 C の合計⽋席⽇数
3 ⼩学校周辺の地域の状況
4 A の児童全般への関わり⽅
5 学級における児童全体の様⼦

問146の正答と解説を表示する

問146の正答

2

問146の解説

いじめ防止対策推進法では、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」(生命心身財産重大事態)や「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(不登校重大事態)(第28条)をいじめ重大事態としている。

問147

問147の問題文

40 歳の男性 A、⼩学 4 年⽣の担任教師。A は、スクールカウンセラーである公認 ⼼理師 B に学級の状況について相談した。A の学級では、児童同⼠が罵り合ったり、授業 中の児童の間違いを笑ったりすることがたびたび起きている。学級の児童の多くが、⾃分の 感情を直接、他の児童にぶつけてしまうため、トラブルに発展している。A は、児童の保護 者数名からこの件について対応するよう要望されており、A ⾃⾝も悩んでいるという。B の A への提案として、最も適切なものを 1 つ選べ。

問147の選択肢

1 WISC-Ⅳ
2 道徳教育
3 スタートカリキュラム
4 メゾシステムレベルの介⼊
5 ソーシャル・スキルズ・トレーニング〈SST〉

問147の正答と解説を表示する

問147の正答

5

問147の解説

1 WISC-Ⅳは個人内の知能の偏りや知能特性を評価する。対象は5歳から16歳11カ月。
2 道徳教育は日頃から行われるべきものであるが、現時点での即効性に欠ける。
3 スタートカリキュラムは、幼小連携を含め、小学校1年生が学校生活になじみ、適応していくことができるようにするためのカリキュラムである。
4 Urie Bronfenbrennerは、人は、社会生活の中で様々な環境から影響を受けて発達しているという生態学的システム論を提唱した。その環境は、個人を円の中心にし、中心から、マイクロシステム、メゾシステム、エクソシステム、マクロシステムに分けられる。メゾシステムは、マイクロシステムの相互関連であり、たとえば、学校と家庭などである。
5 ソーシャルスキルトレーニングとは、人とのやりとりや、対人関係におけるストレス回避や認知、コーピングを学んでいく認知行動療法のこと

問148

問148の問題文

35 歳の男性 A、会社員。A は、不眠を主訴として勤務する会社の相談室を訪れ、 相談室の公認⼼理師 B が対応した。A によると、最近、A はある殺⼈事件の裁判員となっ た。裁判は 8 ⽇間のうちに 4 回実施される。裁判開始前から A は守秘義務の遵守が負担と なっていたが、1 回⽬、2 回⽬の裁判の後はほとんど眠れなかったという。B は A の気持ち を受け⽌め、不眠に対する助⾔をしたが、A は、「裁判は残り 2 回あるが、どうすればよい か」と、B にさらに助⾔を求めた。
B の A への助⾔として、適切なものを 1 つ選べ。

問148の選択肢

1 裁判所に連絡するよう伝える。
2 理由や詳細を述べることなく辞任ができることを伝える。
3 具合の悪い⽇は、補充裁判員に代理を務めてもらうよう伝える。
4 評議を含め裁判内容については、親しい友⼈か家族に話を聞いてもらうよう伝える。 5 評議を含め裁判内容についてのカウンセリングは、裁判終了後に可能になると伝える。

問148の正答と解説を表示する

問148の正答

1

問148の解説

1 まずは裁判所に連絡し、判断を求めるように伝えることが適切である。
2、3 裁判員となることについて辞退の申立てをすることができるのは、以下の者とされている。
一 年齢七十年以上の者
二 地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)
三 学校教育法第一条、第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)
四 過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者
五 過去三年以内に選任予定裁判員であった者
六 過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)
七 過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者
八 次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。
ホ 重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要があること。
(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条)
問149正答2
4 裁判員は「評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条2項)
5  裁判員又は補充裁判員が、評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 裁判員又は補充裁判員の職にあった者が次の各号のいずれかに該当するときも、前項と同様とする。
一 職務上知り得た秘密(評議の秘密を除く。)を漏らしたとき。
二 評議の秘密のうち構成裁判官及び裁判員が行う評議又は構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたもののそれぞれの裁判官若しくは裁判員の意見又はその多少の数を漏らしたとき。((裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第108条)

問149

問149の問題文

73 歳の男性 A、⼤学の⾮常勤講師。指導していた学⽣に新型コロナウイルスの感 染者が出たため、PCR 検査を受けたところ、陽性と判定され、感染症病棟に⼊院した。⼊ 院時は、38℃台の発熱以外の症状は認められなかった。⼊院翌⽇に不眠を訴え、睡眠薬が処 ⽅された。⼊院 3 ⽇⽬の夜になり突然、ぶつぶつ⾔いながら廊下をうろうろ歩き回る、病棟 からいきなり⾶び出そうとする、などの異常⾏動が出現した。翌⽇、明らかな⾝体所⾒がな いことを確認した主治医から依頼を受けた公認⼼理師 B が病室を訪間し、A に昨夜のこと を尋ねると、「覚えていません」と活気のない表情で返事をした。
B の A へのアセスメントとして、最も適切なものを 1 つ選べ。

問149の選択肢

1 うつ病
2 せん妄
3 認知症
4 脳出⾎
5 統合失調症

問149の正答と解説を表示する

問149の正答

2

問149の解説

「夜になり突然、ぶつぶつ言いながら廊下をううろうろ歩き回る」、「病棟からいきなり飛び出そうとする」といった行動からせん妄が考えられる。

問150

問150の問題文

20 歳の男性 A、⼤学 1 年⽣。A は、⼤学⼊学時に⼤学の雰囲気になじめずひきこ もりとなった。⼤学の学⽣相談室への来室を拒否したため、A の両親が地域の精神保健福祉 センターに A のひきこもりについて相談し、両親が公認⼼理師 B と定期的な⾯接を⾏うこ とになった。⾯接開始後、1 年が経過したが、A はひきこもりのままであった。A は、暴⼒ や⾃傷⾏為はないが、不安や抑うつ、退⾏現象がみられている。留年や学業継続の問題につ いては、両親が⼤学の事務窓⼝などに相談している。最近になり、両親が精神的な⾟さを訴 える場⾯が多くなってきている。
B の A や A の両親への⽀援として、不適切なものを 1 つ選べ。

問150の選択肢

1 ⾃宅訪問を⾏う場合、緊急時以外は、家族を介して本⼈の了解を得る。
2 ひきこもりの原因である⼦育ての問題を指摘し、親⼦関係の改善を図る。
3 家族⾃⾝による解決⼒を引き出せるよう、家族のエンパワメントを⽬指す。
4 家族の話から、精神障害が背景にないかを評価する視点を忘れないようにする。
5 精神保健福祉センターや⼤学等、多機関間でのケース・マネジメント会議を⾏う。

問150の正答と解説を表示する

問150の正答

2

問150の解説

1 本人の了承を得ることが原則である。
2 子どもがひきこりになったことで、両親に自責の念がある可能性がある。子育ての問題を指摘することで、両親を追い込むことにもつながる。
3 ストレングスを引き出し家族のエンパワメントを目指すことが一つの支援となる。
4 ひきこもりは、その背景に精神障害が関連していることが多い。
5 他機関でのケース・マネジメント会議を行い、理解を深めることが望まれる。

問151

問151の問題文

20 歳の男性 A、⼤学 2 年⽣。A は、最近授業を⽋席することが多くなり、学⽣課 から促され、学⽣相談室の公認⼼理師 B のもとを訪れた。A は⼤学 2 年⽣になってから、 携帯端末を使⽤して、夜遅くまで動画を視聴したり、友⼈とやりとりをしたりすることが多 くなった。それにより、しばしば午前の授業を⽋席するようになっている。どうしても出席 しなければならない授業があるときは、早く起きるために寝酒を使うこともある。A の表情 は明るく、⼤学⽣活や友⼈のことを楽しそうに話す。
B の A への助⾔として、不適切なものを 1 つ選べ。

問151の選択肢

1 昼休みなどに軽い運動をしてみましょう。
2 寝酒は睡眠の質を下げるのでやめましょう。
3 毎朝、決まった時間に起きるようにしましょう。
4 寝る前は携帯端末の光などの刺激を避けましょう。
5 休みの⽇は⼗分な昼寝をして睡眠不⾜を補いましょう。

問151の正答と解説を表示する

問151の正答

5

問151の解説

1 入眠を促進するために、軽い運動をすることは助言として適切である。
2 寝酒は睡眠の質を悪くする。
3 決まった時間の起床、就寝により生活のリズムを整えることは助言として適切である。
4 携帯端末の光は、覚醒の原因にもなる。
5 昼寝をすることよりも、早寝早起きをすることで睡眠の質を高めるとともに、生活リズムを整えることが効果的である。

問152

問152の問題文

10 歳の⼥児 A、⼩学 4 年⽣。A は、⾃⼰主張の強い姉と弟に挟まれて育ち、家で は話すが学校では話さない。医療機関では⾔語機能に異常はないと診断を受けている。A は、 幼なじみのクラスメイトに対しては仕草や筆談で意思を伝えることができる。しかし、学級 には、「嫌なら嫌と⾔えばいいのに」などと責めたり、話さないことをからかったりする児 童もいる。A への対応について、担任教師 B がスクールカウンセラーC にコンサルテーシ ョンを依頼した。
C の B への助⾔として、不適切なものを 1 つ選べ。

問152の選択肢

1 A の発⾔を促す指導は、焦らなくてよいと伝える。
2 できるだけ A を叱責したり⾮難したりしないように伝える。
3 A が話せるのはどのような状況かを理解するように伝える。
4 A の保護者と連絡を密にし、協⼒して対応していくように伝える。
5 交流機会を増やすため、A を幼なじみとは別の班にするように伝える。

問152の正答と解説を表示する

問152の正答

5

問152の解説

1 場面緘黙が疑われる場合、話すことを促すよりも、焦らなくてよいと伝える方がよい。
2 実績や非難により、安心感を与えるかかわりが大切である。
3 Aが話せるのはどのような状況かを理解することで、支援について考えることができる。
4 保護者との連携をとりながら、Aへの支援を考えていくことが大切である。
5 幼なじみと別の班にすることで他の子どもとの交流を増やすよりも、この時点ではAが安心して過ごすことができるようにすることが大切である。

問153

問153の問題文

40 歳の男性 A、会社員。A は、まじめで責任感が強く、⼈望も厚い。最近、⼤きな プロジェクトを任された。それにより、A は仕事を持ち帰ることが増え、仕事が気になり眠 れない⽇もあった。納期直前のある⽇、他部署から⼤幅な作業の遅れが報告された。その翌 ⽇、A は連絡なく出勤せず、⾏⽅不明になったため、捜索願が出された。3 ⽇後、職場から 数⼗ km 離れた A の実家近くの駅から⾝分照会があり発⾒された。A はこの数⽇の記憶が なく、「気がついたら駅にいた。会社に迷惑をかけたので死にたい」と⾔っているという。 会社の健康管理部⾨の A への対応として、誤っているものを 1 つ選べ。

問153の選択肢

1 安全の確保を優先する。
2 できるだけ早期に健忘の解消を図る。
3 専⾨医に器質的疾患の鑑別を依頼する。
4 内的な葛藤を伴っていることに留意する。

問153の正答と解説を表示する

問153の正答

2

問153の解説

健忘の解消よりも、現時点であはAの安全の確保や器質的疾患の鑑別、寄り添ったかかわりが大切である。

問154

問154の問題文

0 歳の男児 A。18 歳の⺟親 B は、医療機関に受診のないまま緊急の分娩により A を出産した。分娩⾃体は正常で、A の健康状態に問題はなかったが、⺟⼦の状態が安定する まで医療機関に⼊院となった。医療機関から連絡を受けた児童相談所が B との⾯談を実施 したところ、B は精神的に安定しているものの、A を養育する意思がなかった。また、経済 的な問題もみられ、A の⽗親も不明であった。A を養育することが可能な親族も⾒当たらな い。
この時点で考えられる主な措置先を 2 つ選べ。

問154の選択肢

1 乳児院
2 ⾥親委託
3 ⼀時保護所
4 児童⾃⽴⽀援施設
5 ⺟⼦⽣活⽀援施設

問154の正答と解説を表示する

問154の正答

1.2

問154の解説

虐待の一つであるネグレクトに相当し、一時保護が必要であると考えられる。
1 乳児院は「乳児(保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を含む。)を入院させて、これを養育し、あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」である。(児童福祉法第37条)
2 里親とは、次に掲げる者をいう。(児童福祉法第6条の4)
一 厚生労働省令で定める人数以下の要保護児童を養育することを希望する者(都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を修了したことその他の厚生労働省令で定める要件を満たす者に限る。)のうち、第三十四条の十九に規定する養育里親名簿に登録されたもの(以下「養育里親」という。)
二 前号に規定する厚生労働省令で定める人数以下の要保護児童を養育すること及び養子縁組によつて養親となることを希望する者(都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を修了した者に限る。)のうち、第三十四条の十九に規定する養子縁組里親名簿に登録されたもの(以下「養子縁組里親」という。)
三 第一号に規定する厚生労働省令で定める人数以下の要保護児童を養育することを希望する者(当該要保護児童の父母以外の親族であつて、厚生労働省令で定めるものに限る。)のうち、都道府県知事が第二十七条第一項第三号の規定により児童を委託する者として適当と認めるもの
3  子どもを一時保護する必要がある場合は、一時保護所を利用することを原則とするが、次に掲げる理由で委託一時保護を行うことが適当と判断される場合には、その子どもを警察署、医療機関、児童福祉施設、里親その他適当な者(児童委員、その子どもが通っている保育所の保育士、学校(幼稚園、小学校等)の教員など)に一時保護を委託することができる。この場合においては、受理会議等で慎重に検討し決定する。
[1] 夜間発生した事例等で、直ちに一時保護所に連れてくることが著しく困難な場合
[2] 乳児、基本的な生活習慣が自立していないため一時保護所において行うことが適当でないと判断される幼児の場合
[3] 自傷、他害のおそれがある等行動上監護することが極めて困難な場合
[4] 非行、情緒障害あるいは心的外傷などの子どもの抱えている問題の状況を踏まえれば、一時保護後に、児童自立支援施設、情緒障害児短期治療施設あるいは医療機関などのより専門的な機関において対応することが見込まれる場合
[5] これまで育んできた人間関係や育ってきた環境などの連続性を保障することが必要な場合(例えば、その子どもが住んでいる地域の里親・児童委員、その子どもが通っている保育所の保育士、学校(幼稚園、小学校等)の教員などに委託することが適当な場合)
[6] 現に児童福祉施設への入所措置や里親への委託が行われている子どもであって、他の種類の児童福祉施設や里親あるいは専門機関において一時的に援助を行うことにより、その子どもが抱える問題について短期間で治療効果が得られることが期待される場合
[7] その他特に必要があると認められる場合
また、現に児童相談所において一時保護している子どもで、法第28条第1項の申立て等により一時保護期間が相当長期化すると推測される場合においても、児童養護施設等への委託一時保護を検討する。
なお、現に児童福祉施設への入所措置や里親への委託が行われている子どもを他の種類の児童福祉施設や里親あるいは専門機関に委託一時保護する際には、措置を解除又は停止した上で委託すること。(厚生労働省:児童相談所運営指針の改正について 第5章 一時保護 第5節 委託一時保護)
4 児童自立支援施設は「不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」である。(児童福祉法第44条)
5 母子生活支援施設は「配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設」である。(母子生活支援施設は児童福祉法第38条)

-公認心理師, 未分類

情報交換・共有できるサイトを目指しています。

シェアしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。