先生セキララ日記 ~幼稚園の現場から~

幼児教育・子育てについて、幼稚園教諭の視点から綴ったブログです。現役の先生、保護者の方、これから先生になる人達と一緒に考えていくことを目指しています。

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保護者と信頼関係を築くためにしている7つのこと

2018/01/11

先日数年前に卒園された保護者の方が幼稚園に来てくださいました。
わざわざ来てくださったこと、近況を知ることができたこと、うれしく楽しい時間となりました。
クラス担任をすることで子どもと保護者の方と出遭えたこと、ご縁が続いていることをありがたく思っています。

保護者と情報を共有し、よりよい支援をするためには、保護者とよりよい関係をつくることが大切です。

保護者と信頼関係を築き、よりよい関係をつくるためにしていること・気にかけていること

トラブルや怪我は事前に伝える

特に園内で大きな怪我をした場合、子どもが帰宅してからその姿を見て驚かれる場合がありますが、事前に伝えておくことで、保護者の方も”つもり”をして子どもを迎えることができます。
まだ言葉でけがの原因をはっきりと伝えることが難しい年齢の子の場合は、保護者が、子どもがなぜけがをしたのかわからないことが多いです。
それを事前に伝えておくことで、安心につながります。
逆に、保護者に聞かれても答えられない場合、園内でのことを把握していないという理解につながり、不安材料になります。

子どもの様子を具体的に伝える

多くの保護者が、園ではどのように過ごしているのだろうと思われています。
園で元気に遊んでいて、何も問題がないように思われても、保護者は実際に園での様子を見ているわけではないので、わからないのです。
実際に、園では友達と一緒に遊びを楽しんでいるにもかかわらず、おうちで、何をしてきたか保護者に聞かれても「何もしていない」と言ったりあまり話さなかったりする子どももいます。
そういう保護者にとっては、保育者の話が園での様子を知るたよりとなるのです。
また、子どもが幼稚園から笑顔で帰ってくることで、幼稚園生活を楽しんでいるということがわかっても、具体的な様子はわかりません。
「元気に遊んでいた」だけではなく、どんな遊びをどういうふうに楽しんでいたのか、またどういう成長がみられたのかなどを具体的に伝えるようにしています。

子どものよいところを伝える

保護者と子どもについて話していると、「そんなことしたんですか!!」といい意味で驚かれることもしばしばあります。
おうちで見せないようなことも、園では見せる姿もたくさんあります。
保護者から見た子ども像と保育者から見た子ども像は違うこともあります。
違う視点で見るから、子どものたくさんのよさを引き出しすことができるのではないでしょうか。

保護者の方から、「子どものだめところに目がいき怒ってばかりいたけれど、よいところをたくさん聞いて、そういう面があるんだと思いました。今日はいっぱいほめてあげたいと思う」という言葉が聞かれました。
子どものよいところを伝えることで、その保護者の方自身が新しい見方をもってくださったことを感じました。

保護者の良いところ・素敵なところを言葉にして伝える

この仕事をする中で、子どもの良いところをたくさん見つけ伸ばしていくことが大切だと思っています。
良いところをみつけるということは、子どもだけでなく、どんな関係においても大切です。
だから、保護者の方に対しても、素敵だなと思うことは、言葉にして表現するようにしています。
決してお世辞ではなくて、自分が本当に感じたことを伝えます。
お世辞で言っていることは、相手にも伝わるし薄っぺらい関係にしかならないと思うからです。

私の担任していたクラスの中に、伸び伸びとしていて優しく正義感が強くて、考える力もあって、どんなことにも一生懸命な子どもがいました。
きっとご家庭でのかかわりが、この子の姿に繋がっているのだろうと、保護者の方のかかわりのすばらしさを感じていたことをお母様にお話すると、涙を流されながら「そんなことを言われたのは初めて。自分の子育てについてどうしたらいいかわからない。」とおっしゃっていました。
こんなにいい子に育ててられるけれども、悩まれたり不安に思われたりしながら子育てをされていたことを感じました。
子どもを育てている中での頑張りを認めてもらえる経験が保護者の方にとって救いになることもあるのです。

また、子育てだけでなく、その方自身について、素敵だなぁと感じることがたくさんさんあります。
手芸が得意で子どもの荷物はいつも手作りにされていること、いつもおしゃれにされていること、自分の子どもだけでなく、他の子どもともいつも笑顔でかかわっておられること、などなどいいところを見つけると、うれしい気持ちになります。
感じたことを素直に伝えるようにしています。

感謝の気持ちを忘れない

懇談会や行事などに来てくださったこと、幹事を引き受けてくださっていること・・・など、保護者の方はお忙しい中で時間を作ってくださっています。
”当たり前”ではなく、都合をつけてくださっていること、園でしていることに時間をさいてくださっていることに、感謝の気持ちを持ち、だよりや口頭でお礼を伝えるようにしています。
振り返ると、保護者が協力してくださるから成り立つこと、うまくいくことがたくさんあります。
謙虚な姿勢を忘れずに、一つ一つに感謝の気持ちをもって接したいと思っています。

保護者の思いを汲む 寄り添う

保護者がどんな思いで子育てをされているのか、今、どういう思いでおられるのか、ということを理解するように努め、保護者に寄り添っていけるように努めています。
そして、一見疑問に思える保護者の行動についても、”教える” ”正す”という姿勢ではなく、”共に”という姿勢をもつこと。
アドバイスをするときには、まずは保護者の思いを聞き共感をした上で伝え、共に問題を解決していくことができるように心がけています。

子どもの”悪い面”について伝えるときは、言いっぱなしにしない

先ほど、子どもの”良いところを伝える”と書きましたが、褒めるところしかない人はいません。
してはいけないことをしてしまうこと、こうなってほしいという願いなど、それぞれに今の課題があります。
信頼関係を築く上で、保護者に「悪いことは伝えない」と書いてあるものもありますが、子どもの課題を共有し園と家庭とで一緒にみていくことは大切なことだと思っています。
もちろん、マイナスに思われることしか言われないと、保護者はがっかりします。
マイナスなことばかりを伝えるのではなくて、保育者自身が子どものよさをたくさん理解し、その子を大切に思っていることが伝わった上で、課題を伝える必要があります。
”悪い”と思われることも、成長していく過程では必要なこともたくさんあります。
”悪い”というよりも、そういった面も課題として捉えて、園ではどういうふうに援助しているのか、もしくはどういうふうに援助していこうと思っているのか、というところまで伝えないといけないと思います。
ただ言われただけでは、保護者はどうしていいかわからないし、言う意味もありません。
その子の課題について、保育者がどう捉えているのか、どう援助しているのかということを伝え、ご家庭での参考にしていただいたり、おうちでの様子を聞いて保育の参考にしたりしていくことに意味があるのです。
そしてその後のケアも大切です。
援助することでどんな変化があったのか、おうちでの様子はどうかなど、保護者の方が過程を知り安心できるようにしたり、その子の課題と最後まで向きあってサポートしていかなければなりません。

以上、7つを挙げましたが、すべてにおいて共通しているのは、子どもと保護者のことを、”大切に思っている”という思いが伝わることだと思います。
子どもや保護者、一人ひとりを大切にした関係を築いていけるよう努力したいと思っています。

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