幼児期に大切にしたい遊び(2)
2016/08/06
幼児期に大切にしたい遊びとして、昨日は、ごっこ遊びを挙げました。
今日は、ルールのある遊びについて考えていきたいと思います。
ルールのある遊び
ルールのある遊びとは
ごっこ遊びとルールのある遊びは、基本的にタイプが違います。
ごっこ遊びでは、対立がありませんが、ルールのある遊びは、障害があったり順位が決まったりして、役割上対立があります。
(例 鬼ごっこ・・・鬼と子 じゃんけん・リレー・・・勝ち負け)
ルールのある遊びとは、ルールのある世界で他者とかかわり、競ったり協力したりする経験ができる遊びです。
具体的には、上の2つの遊び以外にも、けいどろ、しっぽとり、ドッヂボール、椅子取りゲームなど・・・の集団遊びが挙げられます。
ルールのある遊びの中で大切にしたいこと
ルールのある遊びでは、厳格にルールを守らせることが目的ではなく、ルールを守って楽しく遊ぶということを経験させることが大切です。
そしてルールがあるからこそ考え、相談し、協力し、作戦を立てて実行するという経験ができるのです。
例えば、リレーを挙げて考えてみたいと思います。
年長担任をしていたころ、子どもたちは、年少、年中のときにみていた年長さんの姿に憧れ、自分たちが年長に上がったころに、リレーをしたいとの声が挙がりました。
その声を取り上げ、皆でやってみようということになり、順番を決める時間を設けたのですが、アンカー、トップのポジションが人気ではありましたが、その他の場所については、どの子もどこでもいいという感じで、すっと順番が決まりました。
また、走り出すコース位置(インコース、真ん中、アウトコース)についても、どのチームもこだわりがなく、じゃんけんで勝ってもまっさきにアウトコースを選ぶなど、特に考えて選ぶ姿は見受けられませんでした。
しかし、遊びを繰り返し楽しみ、〝勝ちたい”という気持ちが膨らむにつれ、〝どうすれば勝つことができるのか”ということに気持ちがむく様子が伺えるようになりました。
そこで、クラスで〝作戦会議”を開くことにしました。
はじめは ”自分が” アンカー、トップをしたい という気持ちをもつ子が多かったり、その中から、ただ単にじゃんけんで決める姿が見られたのですが、”勝つことができるように”、という視点で、アンカー、トップを話し合うことができるようになっていきました。
具体的には、〝○○くんが速いし○○くんがアンカーがいいと思う”〝でも○○ちゃんもアンカーしたいって言ってるよ” 〝アンカーやりたい人みんなでかけっこをして、その中で一番早い人がアンカーになるっていうのはどう?”などと、色々な意見がでました。
そして、コースについても、皆で話し合う場を設けると、”アウトコースは外がわで走っている人とぶつかりにくいから、アウトコースのほうがいいと思う” ”でもおにいちゃんがインコースがいいっていってた。なんでやろう?”などと、皆で考えを合わせて話し合うことができました。
保育者が、順番を決めたりどのポジションからスタートすると早いかを教えてその通りにすれば、勝つことにすぐに繋がりますが、勝敗よりも、遊びの過程の中で、子どもたちが気づいたり考えたり考えを修正したり、話し合ったりすることが大切だと考えています。
そして、その中で仲間関係も深まっていくのです。
また、子どもたちは、アンカーやトップというポジションに目がいきがちです。
アンカーには、勝っていても負けていても、あきらめないで最後までゴールをめざすこと、トップは、みんなの気持ちをはじめに運ぶという役割があります。
でも、アンカーやトップだけでなく、どのポジションもそれぞれに大切な役割があること、一人ひとりがしっかりとバトンをつなげていかないとゴールできないことを伝えました。
その中で、”どこの場所、だれがえらい”という思いよりも、皆で頑張っていこうという気持ちがうかがえるよになりました。
年長児期になると、視野が広がり周りが見えるようになってきた分、自分が〝できない”ということに苦手意識を持ったり、友達の〝できる・できない”もわかるようになります。
リレーは、順位が目に見えてはっきりするため、「走るのが遅いからしたくない」「○○ちゃん遅いから同じチームはいやだ」という子の姿も見られました。
誰でも苦手なこと、得意なことがあるのが当たり前。
でも、かけっこと違い、リレーは、仲間が一つになって競う遊びであることを子どもたちに伝えました。
得意な子が、苦手な子をフォローしてあげられるのがリレーの良いところの一つでもあるのです。
そして、リレーを繰り返す中で、「○○ちゃん遅いから嫌」と言っていた子も、その子が走っているときに声援を送ったり、「早く走る特訓しよ!!」という声が聞かれ、一緒に頑張ろうとする姿が見られるようになりました。
ルールのある遊びは、単にルールに従って遊ぶのではなく、ルールの中で他者に支えられて、心の成長を促す遊びでもあるのです。
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