運動会は、誰のため?保護者からの批判に向き合って考える。
運動会が終わると、当日やこれまでの反省を行い、次に生かせるように心がけます。
しかし、そのときにどのような視点で反省をするかによって、今後の方向性が決まってきます。
保護者からも運動会を見た上で、色々なご意見をいただきますが、その声から、運動会は一体誰のためのものなのだろうか、と考えさせられることがあります。
そこで、保護者からのご意見に向き合いながら、大切にしたい視点について考えたいと思います。
保護者からの意見
昨年度のプログラム・内容との比較/「○○を見たかった」
本来保育は、目の前の子どもたちの姿をもとに、どういったことを育てたいのか、そのためにはどういう遊び・活動が必要かを考える必要があります。
そのため、同じ学年のプログラムでも、昨年度とは内容が異なることもあります。
目の前の子どもたちの姿・発達・課題が違うことがあるからです。
たとえば、綱引きが大繩とびに代わったとします。
変化があると、批判はつきものです。
綱引きの方が、勝ち負けがはっきりとして、盛り上がる部分もわかりやすく、「去年の綱引きの方がよかった。」という声が挙がるのです。
けれども、普段縄跳びに親しみ、とぶことができるようになった子どもたちの様子があれば、日ごろの成長を見てもらうために、縄跳びをプログラムに取り入れ、見てもらうことに私は賛成です。
プログラム内容が恒例であるほうが、保育者も楽ですが、何より日ごろの子どもたちの姿を大切にしたいと思い、日々悩み、考えています。
保護者の見たいものではなく、子どもたちが見てほしいと思うもの、子どもたちが楽しんでいること、できるようになったことを見てもらう場になるといいなと思います。
「もっとぴしっとさせてほしい」
まだ産まれて数年しかたっていない子どもたちに何を求めているのでしょうか。
私が幼児の頃、幼稚園が大好きでしたが、違和感として記憶に残っている思い出があります。
年長組だったと思いますが、綱引きの練習をしており、勝敗が決まったとき、みんな疲れていたのか盛り上がりに欠けていたようです、その反応に先生から何かを言われ、勝った方のチームはみんなで勝ったことを喜ぶ練習をさせられたのを覚えています。
そして、とりあえず喜ぶのです。
同じように、練習をさせれば子どもはやります。
けれどもそこに、何の意味があるのかは考えなければなりません。
見た目の問題でそのように練習させることについては疑問を感じます。
子どもの心が動き、楽しいと感じていれば、子どもは意欲的に行動します。
なんとなく見た目がいいからという理由で、子どもの思いをスルーし、ひたすら練習をさせるのではなく、こどもの“やりたい”と思う気持ちを引き出し、生き生きとした姿を大切にし、意欲的な取り組みになるようにすることが大切であると思います。
プログラム数を増やしてほしい
子どもの姿・活躍を見たいという思いから、自分の子どもの学年に対するプログラム数を増やしてほしい、「○○もしてほしい」と声があがることがあります。
けれども、全体の子どもたちに視点をうつして考えた際、子どもは一日を通しての参加になるため、時間やプログラム数が長くなればなるほど、集中力の持続が難しくなります。
また、プログラム数を増やすということは、運動会に向けての子どもの遊び・取り組みにも影響を与えます。
子どもの体力や集中力、気持ちに無理のないプログラム数・過ごし方になるといいなと思います。
幼稚園側にも問題や課題があります。
職員側の問題
保護者の声をもとに、振り返り、反映しようとする
現場が思いをもってとりくんでいても、経営者側が、保護者の声のみをもとに来年度に向けて反映することがあります。
保護者の思いは真摯にうけとめる必要があると思いますが、思いをもって取り組んでいるならば、まずは現場の思いを保護者に伝えるべきです。
そのときに大切な視点は、子どもが主体であるかどうかということです。
保護者の満足度を高めるために振りかえるのではなく、子どもの育ちや気持ちを軸に振り返り、反映していくべきです。
見栄えを求める、保育者主導
みためがよいと保護者の評価も高まるため、子どもに”させる”ことで、見栄えを高め、保護者の満足感を高めようとすることがあります。
子どもの心が動いていないと、子どもの心は育ちません。
子どもが”したい”と意欲的に向き合う中で、結果として身体が育つ過程を大切にすべきだと思います。
行事は、子どもの普段の姿・遊び・取り組みの延長線上にあるべきものです。
子どもの育ちや様子に応じて内容を熟慮し、体だけでなく、心を育てていくことが大切です。
そのための運動会であるべきですし、その意義や育ちについて、園は発信し、保護者にも理解をしてもらえるよう努力していかなければならないと思っています。
情報交換・共有できるサイトを目指しています。
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