幼児期に育みたい力(1)
2017/12/30
幼児期は、人間形成の基盤となる大切な時期です。
単に小学校教育の前倒しとしての早期教育を行う場ではありません。
では、幼児期には、どのようなことを大切にしていけばよいのでしょうか。
一つには、主体的に生活を進める力を挙げたいと思います。
主体的に生活を進める力
「主体的に」とは、自分で考えて、自分で判断することです。
すなわち、「主体的に生活を進める」とは誰かに言われるだけでなく、子どもが自分でその状況や相手の様子から考えて行動することができるようにするということです。
では、どのようにこの力を育んでいけばよいのでしょうか。
(1)見通しをもって生活することができるようにする
・・・といっても、初めから自分で見通しをもつことは難しいので、指示通りではなく、自分なりに見通しをもつことができるように、手がかり示すことが大切です。
そのためには、一日の大まかな流れや、その次には何をするかということを伝えたり、絵で示したりするとよいと思います。(ただし、敢えて秘密にしておいたほうが気持ちがあがる活動があったり逆に不安が増したりする子もいますので、その時々で配慮をしています。)
幼稚園での例を出すと、今日は
登園→遊ぶ→プール→昼食→遊ぶ→降園
という大きな流れがありました。
これを、絵で示しておくと、プール後には、“次はお昼ごはんだから、昼食の準備をしよう”というところまでを自分で考えて動くことができます。
さらに細かく記すと、昼食では、食べ終わる時間を示しておくと(年長であれば、時間を伝えただけでわかるようになる子もいますが、年少ではまだ難しいので、ごちそうさまの時間の文字盤・・・12;45なら、5のところにしるしをつけ、5のところまではりがきたら”ごちそうさま”をするなどすると)、時間を意識して食べ終えようとする様子が伺えます。
全てを子どもに任せて、自分で見通しをもたそうとしても難しいので、手がかりを示してあげることが、保育者(大人)の役割となります。
(2)協力する、他者の役にたつ喜びを感じられる生活を大切にする
誰かと力をあわせて何かをするという経験、また、自分がしたことが誰かの役に立つという喜びを生活や遊び、活動の中で味わわせてあげることが大切です。
(3)自分たちで問題を解決する経験、話し合いを重ねること
これから生きていく中で、問題解決能力を身につけることは、とても大切な力の一つとなります。
その力を身につけるためには、何かをするとき、また、何かをきめるとき、自分たちで話し合って道筋をたてていくという経験を積み重ねていくことでが必要です。
しかしまだ子どもたちだけでは難しいので、まずは、話し合うということの手順を知らせることが大切となりますが、知らせるといっても、「こうして、こうしてこうするんだよ」と伝えるのではありません。
こどたちが話し合いができるように、互いの思いを聞くことができるよう促したり、自分の思いを伝えられるように橋渡しをしていったりすることが求められます。
皆が同じ思いをもっていると、話し合いはスムーズですが、互いの思いが違うと、なかなかまとまりません。
でもそのまとまらない中で、どのように時間をもつかということが大切なのです。
自分と違う意見を聴き、尊重すること、そして自分の思いも伝え、どう折り合いをつけるかを、話し合いの中で経験することができるようにすることで、こどもたちは、問題解決能力を身につけていくようになるのです。
ただし、ここで大切なのは、話し合いで解決したことに対する、肯定的なイメージづくりを大切にしたいなと思います。
子どもたちは、大好きな遊びの時間を削って話し合いをしているので、話し合いがなかなかまとまらなかったり、時間が超過すると「めんどくさい」という思いが表れてきます。
”話し合ってよかった” "話し合うと楽しいことが実現できる” という話し合いに対するいいイメージをもって追われるようにしたなと思います。
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