先生セキララ日記 ~幼稚園の現場から~

幼児教育・子育てについて、幼稚園教諭の視点から綴ったブログです。現役の先生、保護者の方、これから先生になる人達と一緒に考えていくことを目指しています。

幼児教育・子育て全般

幼児期に育みたい力(3)

2018/01/01

前回は「知的好奇心を育む」というテーマの中で、「幼児期には遊びを通して学ぶことが大切」と書きましたが、今日は、遊びを通して育みたい力の中の一つとして、友達とのかかわりを挙げたいと思います。

では、どのようにして、友達関係を育んでいけばよいのでしょうか。

~友達関係を育む~

(1)同じ場で遊ぶことから始まる!

入園・進級して間もないころに、保護者から「友達の名前がでてこない」「友達はできましたか?」というお声を聞くことが多々ありますが、子どもだからといって、はじめから 同じクラス=友達! という関係がすぐにできるわけではありません。

まだかかわりができていない場合、個々の遊びが中心になることが多いですが、その中で、互いに意識はしていなくても、同じ場で遊んでいることがあります。

同じ遊びを楽しむ中で、他の子がしていることに興味、関心をもって遊びがつながることが様子が見らますが、その中で、その子への関心が広がっていくのです。

また、同じ場で遊んでいる際に、保育者のことばがけが大きな役割を果たします。

たとえば、数人が互いにブロックで遊んでいる際、「○○くん、電車つくんったんだね」とその子にむかってことばがけると、同じ場で遊んでいる子が間接的に耳にすることで、「あ、あの子も(あの子は)電車つくってんるんだ」と周りの子への意識がむけられます。

また、「あ、Aくんは赤色のブロックで電車作ったんだね。Bくんは青色の電車!?」などとことばがけると、互いに同じものを作っていることをしり、つなげりを感じるきっかけになります。

そして、段々と親しみをもっていく様子が見られるようになります。

 

(2)楽しさを共有できる遊び

子どもたちが一緒に楽しい時間を過ごし、共感する経験の中で、友達関係は育まれていきます。

これは大きくわけて、子どもが好きな遊びを一緒に楽しんでいるときと、保育者が意図的に共有できるように設けるときとがあります。

1)子どもが好きな遊びを一緒に楽む

上に挙げたブロックの例では、初めはそれぞれで遊んでいる姿から、友達が作った「線路」でその上を自分がつくった「電車」を走らす、友達と一緒に線路を長くつなげていくなど、次第に遊びを共有していく姿が見られました。

そうすると、次第に「たまたたま同じ場であそんでいた」姿から、「゛一緒に”という意識をもって遊ぶ」姿が見られるようになります。

2)保育者が意図的に〝楽しい”を共有できるようにする

私は、子どもたちが友達に関心を持てるようになってきたな、と感じるとつながりを楽しめるような遊びを投げかけます。

たとえば、けいどろやドッヂボールなどの集団遊び、じゃんけん列車や音楽を使ったふれあい遊びなど。

また、年長であれば、グループ活動などで、話し合ったり協力し合ったりすることができるような活動を投げかけます。

 

意図的か、意図的でないかのどちらにしても、楽しいことを一緒にする中で、子どもたちは思いを共有し、「友達」と認識していくのです。

 

(3)現状把握が大切

具体的に、どのような遊びに取り組むかは、現状把握をしたうえで、ねらいにあわせて実践することが大切です。

かかわりがまだ浅い子ども同士を結びつける、かかわりをより豊かなものにする場合は、楽しさを共有できるようにする遊びが大切ですが、望ましくないかかわりを修正していく必要がある場合には、また違った視点からも考えていく必要があります。

たとえば、以前、友達とのかかわりの中で、気になる姿が見られました。

仲良しで一緒にいることが多かったCくんとDくん。

けれど、幼くまだできないことが多くあるDくんに対して、Cくんは、そのことを小ばかにしたような口調で言ったり、ほかの子には言わないきついことも、Dくんには言ってしまうことがありました。

そのような場にであうと、Dくんの思いにたって考えるように促しますが、Cくん自身が、Dくんについて感じることができるような場をつくるようにしました。

どちらの子も、運動遊びが苦手で前回りができずにいたのですが、Cくんは、プライドが高くできないことには取り組もうとしないところがありました。

一方Dくんはできないことにも前向きにとりくむ頑張りやさんな姿が見られました。

そこで、クラスで鉄棒を使った遊びを投げかけ、できなくても頑張ってとりくんでいるDくんを取り上げました。

繰り返しできるようになるまで頑張っているDくんを、他の子も一緒に応援して、ついにはできるようになったのですが、それを見ていたCくんは、Dくんの良いところ、すごさを感じたようなのです。

どのような時期なのか、また、互いの関係がどのようなものなのかを把握し、遊びや活動を設定することも保育者の大切な役割です。

また、子どもたちは、友達とのトラブルの中でもかかわり方を学んでいます。

けんか=悪いことでなない!「ごめんね」「いいよ」というかたちだけの解決にならないように・・・。

という記事にも目を通していただけると嬉しいです。

幼児期に育みたい力(1) 

幼児期に育みたい力(2)

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