互いに育ち合う異年齢とのかかわり
2016/08/04
幼稚園によっては、異年齢でのクラスと同年齢でのクラスがあります。
私の勤めている園では、同じ年代の子どもたちでクラスをつくっています。
しかし、異年齢の子どもとのかかわりも大切であると考えています。
年少・年中児は、年長児の姿を見て学び、年長児は、年少・年中児とかかわることで成長をし、互いに育ちあえると考えているからです。
クラスが違っても、かかわる場はたくさんあります。
お世話係
入園した際、右も左もわからない年少時。
一人ずつ年長児がつき、お世話をします。
お世話係の仕事
- 登園時、靴箱の場所を教え、一緒に靴を入れる
- 片づけ時、担任とのところや保育室まで連れていく
- トイレに連れていく
など。
入園時だけでなく、行事の際に年少・中児の面倒をみる役割を設けています。
また、保育者が意図したお世話係だけでなく、園庭で遊んでいる際にも異年齢のかかわりが多々見られます。
お世話をしてもらう年少児に育つこと
年長児にいろいろ教えてもらったり一緒に取り組んでもらったりする中で、年少児は、園生活の仕方を知っていきます。
初めての園生活で慣れていないため、うろうろしたり、涙したりする年少児。
けれども、担任以外にも年長児によりそってもらうなかで、子どもたちは安心し、居場所を感じるようになっていきます。
その中で、遊びを片づけられずにいた子が、お世話係の子に促されて一緒に片づけたり、トイレにいかず放浪していた子が、年長児と一緒にトイレにいくことができるようになったりして、「お兄ちゃん・お姉ちゃんの言うことを聞こう」という姿が見られるようになっていきます。
そして、お世話係の年長児に親しみや憧れをもっていく様子が見られます。
また、お世話をしてもらったということは、子どもたちの喜びになることで、自分たちが年長児になったときには、同じようにお世話係をしたいという思いが芽生える様子が見られます。
優しくしてらもらったこと、面倒をみてもらったことを、今度は次の年少さんにかえしてあげようという心の成長が感じられます。
お世話をする年長児に育つこと
年長になるとお世話をすることに期待を高める子が多いですが、中には不安を感じる子もいます。
また、マイペースな子は自分のことを優先し、つい役割を忘れてしまう子もいます。
けれども毎日のお世話を通して、段々と自分の役割を意識・自覚したり、かかわりを喜んだりする姿が見られるようになっていきます。
はじめは、なかなか思い通りにいかないことが多いので、年長児が困惑することがありますが、そういうときが学びの時。
どうしてうまくいかないのか自分なりに考えて、色々な角度から考えたり試したりするようになります。
たとえば、トイレに連れていきたいのに、年少児がトイレにいかない時。
はじめは強引に手を引っ張って連れていこうとしていた年長児ですが、うまくいかないことで、なぜトイレにいかないのか思いを聞き出そうとします。
けれども答えない年少児を見てまた考えます。
「行きたくない?」「さっきおしっこ出た?」「どこか痛い?」など、年少児の気持ちに寄り添おうとする中で、年少児も動こうとします。
やっとトイレに行きついたと思うも、何もしない年少児。
その姿を見て、パンツをおろしてあげたり、便器からおちないように支えてあげたりするする年長児の姿が見られました。
お世話を通して、相手の気持ちを考えたり、うまくいかないとき、どうしたらうまくいくか考えたりする姿が見られ、心の成長が感じられます。
また、年長児としての自覚をもち、ぐっとお兄さん・お姉さんになっていくのです。
異年齢の子どもとのかかわりの中での保育者の役割
互いに育ち合うことを目指した異年齢でのかかわりですが、保育者は放任し年長児に任せるだけではうまくいきません。
年長児はお世話係がうまくいかないとき、ストレスになったり落ち込んだりします。
年長児の負担にならないよう、フォローしたり、なぜうまくいかないのか、ヒントになるようなことばがけをしたりする必要があります。
そして何より、年長児がどのようなかかわりをすべきか、保育者は背中で語る必要があります。
普段からモデルとなるような姿勢を示さなければなりません。
そして、年少児が、年長児に憧れ”お兄ちゃん・お姉ちゃんのようになりたい”という思いをもてるよう、また年長児のプライドも含め、年長児が何かをしたときに叱らなければいけない場面でも、年少児がいるみんなの場面で叱るということはなるべく控えています。
そして、お世話をしてもらったことでできるようになった年少児をほめることはもちろん、そのような姿にもっていってくれた年長児をたっぷりほめてあげたいと思います。
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